カルチャー 【山田康弘さん×譽田亜紀子さん 対談】縄文という時代【2】 多くの人がなぜ、縄文に惹かれるのか。 その精神文化を辿っていくことで、見えてくる現代社会が抱えるものとは? 記事をシェア X Facebook LINE リンクをコピー 2019.09.22 撮影・柳原久子 文・一澤ひらり 写真ギャラリー (左)山田康弘さん「国立歴史民俗博物館」教授 。(右)譽田亜紀子さんフリーランスライター、 エディター。縄文の展示室内の祭祀がテーマのコーナーでは、死生観や信仰といった精神文化に触れられる。 「10年前にまるでジンジャーマンクッキーみたいな観音寺本馬土偶を見て、豊かな造形感覚に衝撃を受けました」。この出合いから譽田さんは縄文にハマることに。奈良県橿原市観音寺本馬遺跡出土 土偶 奈良県立橿原考古学研究所蔵 国宝「縄文のビーナス」。集落中央広場の墓中から発見されたので、副葬品と考えられている。「女性の強さ、たおやかさと美を追求した圧倒的な姿に魅了されます」長野県茅野市棚畑遺跡出土(国宝) 茅野市尖石縄文考古館蔵 「おっぱいが突出しているのが山形土偶の特徴です。母乳がたくさん出て赤ちゃんを育めますように、という願いが込められているのではないでしょうか」写真提供:千葉市立加曽利貝塚博物館 「土偶は2万点ほど発見されていますが、素朴なものから前衛的なものまで造形はさまざまです。ぜひ実物を見てほしいですね」(譽田さん) 石皿と磨石(すりいし)といった調理道具も祭祀に。「これは石皿に食材をおき、磨石ですり潰す調理道具です。その様子が男女を表すと考えられて、日常品が呪術の道具にもなっていました」(山田さん/以下同) 母子の微笑ましいイメージから反転。「子を抱く土偶」の解釈にゆらぎが。「縄文集落の人口比率を考えると妊婦はひとりだけの場合があり、母乳が出るか出ないかは死活問題。切実な祈りを感じます」 合葬墓は縄文時代の祖霊信仰の証し!?「年代も血縁も異なる骨が集められて合葬されていることから、寒冷化で離散していた集団が温暖化で再び集まる際、新しい共通の祖霊として葬った祖霊信仰の形ですね」 「頭部がカサ型のこの石棒は栃木市で出土したもので、高さは2m4cm。 屋内で展示されているものとしては国内最大級です」(山田さん) この写真ギャラリーの記事を読む 関連記事 手芸好きの玉鷲一朗関と人気編み物作家の横山起也さんが語り合う「手芸の力」。 あの大ヒット冷凍食品の開発の裏側を、メーカーの「作る人」が語り合う。 読めば草花を見る目が変わる!植物が持つ脅威の能力。 広告 TAGS #お茶の時間 #対談 #山田康弘 #縄文 #縄文という時代 #譽田亜紀子 HOME くらし 【山田康弘さん×譽田亜紀子さん 対談】縄文という時代【2】