一田憲子さんの住まい方に学ぶ。大人になったら始めたい、手間なしシンプル生活。
衣食住が無理なく回りだす、暮らしの仕組みが見えてきました。
撮影・黒川ひろみ 文・松本あかね
料理は、定番のものしか作らない。
「私は面倒くさがりだけれど、ごはんだけは作るんですよね」
ただ、本を見ながら一生懸命作っても、家族の反応は「ふーん」。
「男の人って変わった味はいらんみたいなところ、ありますよね。せっかく作っても費用対効果が悪すぎるので、いつもの定番を繰り返し作るのに落ち着きました」
「豚肉マキマキ」はナス、オクラ、しいたけなど季節の野菜を薄切り肉で巻いて焼くだけ。疲れていても頭を使わず作れるからうれしい。
調味料・スパイス類は、決まったものだけにして増やさない。
普段使いのスパイスはガラムマサラ、クミン、花椒の3種類だけ。ガラムマサラは隠し味に、クミンは肉の煮込み、花椒は揚げ物にパラパラと、縦横に使いこなす。
「昔は本を見て料理ごとに買っていたんですけれど、一度作ったらそれっきり。今はこの3種類以外に必要な場合は、使い切れる少量タイプを買うことにしています」
鍋は、有次のやっとこ鍋。 5つのサイズセットに絞る。
「もう20年くらい使っています。一番小さい鍋で絹さやを茹でたり、一番大きいサイズでは、大根を一本煮ることも」
程よい厚みのある、打ち出しのアルミ製やっとこ鍋。材料の量によってサイズを選べば、重ねないでひと並べにでき、落とし蓋をすれば煮汁がほどよく回る。
「いろいろな鍋を買いましたが、これさえあれば何でもできるから、ほかはいらないですね」
入れ子状になるので場所をとらないのもいいところ。
水気を残さないことを心がける。
シンク内が定位置のスポンジやたわしは、実際乾く間がないもの。
「ヌメッとなってからきれいにしようとすると時間がかかって大変」
そこで試行錯誤の末、キッチンの窓際にピンチハンガーをかけて、毎晩寝る前に干すことに。
「よく水気が切れるし、変なにおいもしない。カラッと乾かしておけば、いつでも清潔に使えますよ」
タオルはかさばらず乾きやすい平織りタオルにする。
6枚のバスタオルと1枚のバスマットがこんなにコンパクトに! 今治のタオル専門店『伊織』の平織りタオルはかさばらず、すぐ乾く。どんどん使って洗えるのがいい。
「以前は『リベコ』のリネンのタオルを使っていましたが、良いものだけに値段も高かった。平織りのタオルは2000円くらい。この値段でここまで良質なものが買えるのだったら、今はそちらを選びたい」
これからの暮らしは価格のダウンサイジングも意識したいところ。
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