中井 具体的に高血糖や血糖値の上下動が、体にどう影響するんですか?
山田 太りやすくなる、内臓脂肪が増える、血管が傷つく、高血圧になる、脳卒中といった病気につながることなどは言われてきましたが、最近注目されているのは、(最終糖化産物)です。これは高血糖の悪影響で体内に蓄積した老化物質のこと。AGEsは加齢とともに増加するものなので、健康な人の体内にもありますが、蓄積量は人それぞれ。自分の過去の高血糖による悪影響が体に蓄積され、老化を加速させてしまうのです。
美保 え〜やだ〜。糖質で肌も老けちゃうんですか? 最近私、フェイスラインのたるみが気になるんだけど……。
山田 美保さんの悩みの原因がAGEsとは断定できませんが(笑)。でも、AGEsはイコール肌年齢です。肌や骨の柔軟性を支えるコラーゲンとも密接な関係があって、AGEsが増えるとコラーゲンのしなやかさが失われ、肌にシワが生まれます。糖尿病の人は老化が10年早いと言われますが、AGEsの影響だと考えられますね。
美保 怖い怖い……。では糖質は一日にどれくらいなら大丈夫なんですか?
山田 日本人は平均的に1食100g程度の糖質を摂っています。私たちがおすすめするのは1食20g以上40g以下。糖質をゼロにすることを推奨する方もいますが、それではストイックすぎてつらくなります。ある程度糖質を食べることは楽しみつつ、健康効果の出る摂取量を提案しています。具体的にはおにぎり1個で糖質40gです。
中井 え〜、私すぐアウトです。
美保 私は、お米を食べないと調子が出ない気がするんだけど……。
山田 ゼロにしなくていいので、量を加減しましょう。その代わり、カロリーの高い油脂、タンパク質、食物繊維はたっぷり食べてほしいですね。カロリー制限は必要ありません。
中井 ダイエットしたいのにカロリー制限をしなくていい、というのが驚きです。理由を教えてください。
山田 カロリー制限をすると確かに体重は落ちますが、それは筋肉を削って落ちているだけなんです。
美保 見た目がげっそりしちゃうのね。
山田 そのとおりです。カロリー制限はリバウンドしやすいというデータも出ていて、リバウンドの回数が多いほど死ぬリスクが高くなる、という論文もあります。一方、昨年発表された論文では、糖質の少ない食事をしている人は死亡率が低いことが示されました。カロリー制限や脂質制限には科学的根拠がないのです。実際、ベジタリアンの方は太りやすいという説も。見た目は細く、筋肉は薄っぺらなのに内臓脂肪などの脂肪は多い、“サルコペニア肥満”の方が問題になっています。
美保 そうなの? 馬みたいに人参をたくさん食べていたら筋肉質になって、足も速くなるのかな、なんて(笑)。
山田 面白い発想ですね(笑)。確かに、動物ごとに適した健康食があると思うんです。人間には、糖質をコントロールした食事が合っています。