「骨密度70%」は、もう骨粗鬆症なのです。
撮影・岩本慶三 イラストレーション・風間りさ 文・越川典子、高橋顕子
エストロゲンが骨代謝に大きく関わっていた。
春原 骨の老化は目で見えないし、そこまで深刻に考えなかったです。骨折は、くっつきさえすれば問題ないと思っていました……。そもそも最初に骨密度が減る原因は何なのでしょう?
太田 ダイエットなどの低栄養、喫煙、糖尿病……さまざまな原因がありますが、女性ホルモンの減少が大きいです。37、38歳くらいからエストロゲンが減っていきますね。そのエストロゲンは、骨代謝に大きく関わっているんです。
春原 どんなふうにですか?
太田 骨は約5カ月かかって入れ替わっているんですね。破骨細胞が古い骨を壊し、骨芽細胞が新しい骨を作る。その繰り返しを骨細胞がコントロールしていますが、エストロゲンは、3つの働きで骨に関わっています。1つは、骨の吸収作用の抑制、2つめは、ビタミンDの合成促進、3つめが、腸のカルシウム吸収の促進です。
春原 女性は更年期になると、当然、女性ホルモンは減りますね。
太田 閉経すると一気にエストロゲンが減りますから、その後の10年間で15%も骨密度が減少してしまいます。その後は平均して年に1%ずつ減っていくんですが、栄養不足、運動不足だと、減り方も加速してしまいますね。
春原 では、40代になったら、自分のYAMがどのくらいなのか、調べておいたほうがいいのですね?
太田 母親や姉妹などが骨粗鬆症だという場合は早めに測っておきましょう。整形外科、内科、婦人科のかかりつけ医などがいいですね。
春原 早く知っておけば、手を打つこともできる。私も、もう放っておきません。目指せ、80%です。
太田 面白い研究もあるんですよ。2010年の米国内分泌学会(ENDO)で、「シワの多い人ほど骨密度が低い」という報告がされたんです。見た目と骨粗鬆症の関連性が証明されたわけです。
春原 あらっ(頬に手を当てる)。それほど骨が重要だという証明ですね。