【データ編】睡眠に大切なのは時間よりも質、ぐっすり眠るための条件とは?
撮影・岩本慶三 文・一澤ひらり
働く女性は家事等との両立による「睡眠不足」、シニア世代になると「不眠」に陥りやすい。
上のグラフは、平成12年に総務省統計局が発表した「有職者女性の睡眠時間の国際比較」。外国と比べて日本人女性の睡眠時間の短さが顕著だが、この調査を受けて厚生労働省は「(日本の)女性は家事や育児の負担が大きいため睡眠時間が短く、平日・週末を問わず慢性的な寝不足状態にあると言える」と分析している(厚生労働省の生活習慣病予防のための健康情報サイト「e-ヘルスネット」より)。
そして下は内山さんとアメリカの研究者グループによるデータ「日本住民の加齢による睡眠傾向の変化」。ともに50代以降に、男性は早期覚醒(朝早く起きてしまうこと)、女性は入眠困難(なかなか眠れない)という傾向が強くなることがわかる。「早寝早起きの傾向が強くなる夫に合わせて、まだ眠くない女性も早くに寝床に入ることになり、結果なかなか眠れず不眠を訴える、ということにつながります」(内山さん)
睡眠不足や不眠を放っておくと生活習慣病やうつのリスクが高くなる。
厚生労働省が健康情報サイトで発表した「睡眠と生活習慣病との深い関係」によると、質の悪い睡眠は生活習慣病にかかるリスクを高め、かつ症状を悪化させることがわかっている。また同じ厚労省のデータによれば、日本人の約2割が交代勤務(夜勤ありのシフトワーク)に従事していて、体内時計と生活時間のずれによる睡眠の質の低下の要因を慢性的に抱えている。
睡眠習慣と健康との関係を表したものが上の図。睡眠時間の不足やリズムの乱れ、そして睡眠障害は日中の眠気や意欲の低下・記憶力の減退のもととなり、事故やエラーの原因になるだけでなく、うつや生活習慣病と関係があるとされている。
「睡眠不足が続くと食欲抑制ホルモンであるレプチンの分泌が抑制され、反対に食欲を増強するグレリンが多く出るため肥満を増長します。それがメタボや糖尿病の原因に」(内山さん)
下の図は、不眠の人の生活習慣病とうつの発症リスクを、不眠でない人の割合と比べたもの。それぞれ高い数値になっていることがわかる。
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