からだ

Vol.29 むくみを放っておいたら、足が黒ずんできました。【40歳からのからだ塾WEB版】

  • 文・及川夕子 イラストレーション・小迎裕美子

前回は、むくみの原因の見分け方、セルフケアなどをご紹介しました。
今回は、40代以上の女性に多くみられる「下肢静脈瘤」の症状や診断、治療法について詳しく紹介します。
むくみだけではない、下肢静脈瘤によって起こる意外な症状とは? 心臓血管外科医の榊原直樹さんに聞きました。

治りにくい皮膚病、原因は下肢静脈瘤だった!?

下肢静脈瘤は、足の静脈にある逆流防止弁が壊れてしまう病気。古い血液が逆流して血管にたまり、静脈の血管が浮き出るようになったり、血管から血管の外に液体成分が染み出してくるため、むくみの原因になったりします。進行すると、足に瘤(ボコボコとした血管)が現れたり、足が疲れる、つりやすくなるなどの症状が出てきます。

また、下肢静脈瘤は女性に多く、年齢とともに増えていくと言われています。「長時間の立ち仕事をする人、妊娠中の女性、出産経験が多い女性などは、足の静脈弁に圧がかかり、弁が壊れることで静脈瘤ができやすくなります。壊れた弁は自然に治ることはありません」と榊原さん。

実は、静脈瘤は徐々に進行する病気で、長く放置すると、かゆみ、湿疹、変色などといった皮膚病変が起こることがあるそうです。
その理由は、下肢静脈瘤の原因をたどるとわかりやすいでしょう。

下肢静脈瘤が生じるプロセス

何らかの理由で足の静脈弁が故障し血液の逆流が起こる→下肢部の血流が逆流し、うっ血が起こる→足の血液循環が悪くなることで、さらに静脈に血液がたまり、血管が広がって瘤(コブ)ができる。

資料提供:東京血管外科クリニック

皮膚病変が出るまで

下肢静脈瘤になると、足の静脈の逆流弁が壊れてしまい、下肢部の血流が滞ってしまいます。すると、皮膚の血のめぐりが悪くなり、酸素や栄養がいき渡らなくなることから、皮膚の細胞が障害されていきます。結果、茶色いシミができたり皮膚がかたくなり、重症になると皮膚に穴があく潰瘍になります。

静脈瘤でできた皮膚病変は、原因が血流にあるため、塗り薬を塗ってもなかなか治りません。中には、静脈瘤があまり目立たず、皮膚病から下肢静脈瘤が発覚するケースもあるそうです。
足にむくみがあり、皮膚科で長い間治療をうけても皮膚病がなかなか治らないという方は、一度、下肢静脈瘤の専門医に相談してみましょう。

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