【前編】大久保佳代子さん、すっきり。タオル1本のボディワーク。
撮影・岩本慶三 スタイリング・野田奈菜子 ヘア&メイク・春山輝江 文・一澤ひらり イラストレーション・川野郁代
「絶好調!というときは、40歳を越えてからはないかもしれません」
と大久保佳代子さん。もともと肩こりがひどく、首の痛みはここ10年意識しない日はなかったという。
「いちばんの痛みが10だとすると、今朝は6だから大丈夫とか、そのくらいで自分にOKを出しているんです」
あきらめ気味の大久保さんだが、テレビでの活躍を見ていると姿かたちはしなやかだし、声の出し方や舌の動きも柔らか。感じる力を取り戻せば身体の疲れは簡単に解消できる、とボディワーカーの藤本靖さんは太鼓判。
「ボディワークは『感覚の教育』とも言われるほど、呼吸を感じたり、筋肉が伸びる感じを味わったり、自分の身体の感覚に意識を向けるテクニックです。ほんのちょっと工夫するだけで、身体の悩みを解消できるんですよ」
そこで藤本さんが取り出したのはどこにでもありそうなタオル。これを脇にはさんだり、腿や頭、肘に巻きつけたりすることで身体が楽になるという。
「タオルはさむだけで? 信じがたい」と、驚く大久保さんに、
「ポイントは筋肉や内臓を包む薄皮の筋膜です。筋膜は筋肉を含むあらゆる臓器が安定して働ける空間を作っていて、しかも臓器どうしを連携させる働きのあることが近年わかってきました。この筋膜は刺激に対する感受性が高く、身体のセンサーとして働きます」
筋膜のセンサーにスイッチが入れば、身体中のさまざまな部位とバランスをとりながら、筋肉の長さや張りを適切な状態に保ち、身体は自然に健康で快適になっていく、と藤本さん。問題は筋肉のように意識的にコントロールすることはできないこと。タオルはそのスイッチを入れる方法の一つなのだ。
「現代人は筋肉の感覚が鈍っている人が多いですが、タオルをはさむことで、身体の調整力を引き出せます」
藤本さんの言葉に、大久保さんは、
「刺激を与えて気づかせるんですね。しんどい思いをして筋肉を鍛えたり、身体に無理する必要がないのがいいですね。タオルならいつも手近にあるし、面倒くさがり屋の私にピッタリ!」
それぞれのワークは、30秒を目安に、自分が気持ちいいと感じる程度の強さと時間で。さあ、さっそく実践!
【脇タオル】肩こりは人間の宿命。前鋸筋を刺激して改善。
人間の腕の重さは成人で片腕約4〜5㎏。それを支える土台が肩甲骨だが、これを安定させるために重要な深層筋の前鋸筋(ぜんきょきん)が現代人は弱っている。
「パソコンやスマホなど指先ばかりを使うことが多くなって、脇の筋肉が働かずに固まっています。だから脇の支えがきかず、腕の重さが肩にのしかかって肩こりになるんです」(藤本さん)
前鋸筋にスイッチを入れる方法は簡単だ。クルクルッと巻いたタオルを両脇にはさむだけ。日本の武道、茶道などは、脇を締める、脇を意識することが要諦になっていることが多い。それがタオルを脇にはさむことで無理なくできるという。
「腕がダラ〜ンと伸びて、余分な力が抜けます。姿勢もよくなりますね」
と即効性を実感する大久保さん。長時間のパソコン作業も脇タオルで行えば、姿勢が整い、肩こりも楽に。
〈応用編〉脇タオルウォーク
両脇にタオルを通して端を持ち、前に引っ張るようにして歩く。背中がスッと伸び、気持ちいい。
【股タオル】骨盤底筋を引き締め、背筋がピンと伸びる。
「股の部分には骨こつばんていきん盤底筋群といわれる筋肉がありますが、深層にある筋肉なので意識しにくいんです。よく『肛門を引き上げるようにして』とか言われますが、程合いが難しいですよね。でも股にタオルをはさむだけで、センサーにスイッチが入ります」(藤本さん)
股にタオルをはさめば腰がスッと軽くなるし、立ちっぱなしでも足腰の疲労度をかなり軽減できるという。とはいえ、見た目にはちょっと情けない姿。
「慣れたらタオルをはさまなくてもいいんです。タオルをはさんでいる感覚を覚えれば、同じ効果が期待できます」
『クロワッサン』949号より
●藤本 靖さん ロルファー、ボディワーカー/米国ロルフ研究所認定ロルファー。著書に『感じる力をとり戻しココロとカラダをシュッとさせる方法』(マガジンハウス)
●大久保佳代子さん タレント/光浦靖子さんとお笑いコンビ「オアシズ」を結成。バラエティ番組、ドラマや映画、CMなどで活躍中
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