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カラダと心のケアが女性に必要な理由がある。

女性ホルモン学カラダと心のケアが
女性に必要な理由がある。

女性は一生を通じて、ホルモンの影響を大きく受けます。体の問題、一緒に考えてみませんか。
撮影・岩本慶三、森山祐子 文・及川夕子
ピルを使うと、月経痛や子宮内膜症を
減らせることも知ってほしい。
種部恭子さん
女性クリニックWe!富山 院長、産婦人科医師
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「学校での講演では、男子生徒にも妊娠や避妊について教えます。エイプリルフールにセックスをしたらいつ産まれると思う? 答えはクリスマスイブで、産むか産まないかの相談は連休明けまでよと。息子にも、避妊について話し合える関係でなきゃエッチはするな、と伝えています。こうした知識を持つことは、すごく意味があると思います」

種部恭子さん、52歳。日々の診察をこなしながら、性教育の出前講座や啓発活動に飛び回る多忙な婦人科医だ。

「私は、夢を叶えたい人を応援したいんです。女性の人生はホルモンの影響を大きく受けます。月経痛や月経前症候群(PMS)でパフォーマンスが低下する。出産適齢期とキャリア形成適齢期の間で揺れ動く。更年期になれば、どんなに頑張っても体がいうことを聞いてくれないこともある。そんな中でやりたいことを叶えるには、体についての知識が不可欠。女性にも男性にも、知っておいてもらう必要があるんです」

大切なのは、『ライフコースアプローチ』という視点だという。

「たとえば、痩せている女性から生まれた体重が少ない赤ちゃんは、将来メタボになりやすいこと、女性は20歳までに最大骨量を獲得しないと、閉経後の骨量低下に耐えられないことなどが知られていますね。つまり、メタボやロコモが起こる年齢になってからアプローチするのでは遅い。生まれたときから、栄養や体づくりを考えることが大事という視点が必要ですね」

体を知ることで、早いうちからライフプラン、キャリアプランを考えることができると、種部さんは伝えたいのだ。

「20代まではダイエットはしないこと。学生時代の部活などの運動習慣は、強制でもいいぐらいです。その代わり、根性ものではなく、楽しくスポーツができる環境にあるといいですね」

ピルを使うと、月経痛や不妊の一因になる子宮内膜症を減らせることも知らせたいことの一つ。

「日本はピルへの理解がまだまだで、産婦人科の敷居も高い。お母さん世代には、娘のためによい婦人科を探す手助けをしてほしいんです。最高のプレゼントです」

一方、母世代・更年期世代にもアドバイスが必要。月経の様子が変わり、健康問題も増えていく40代にも、婦人科を積極的に受診してほしいと種部さんはいう。

「患者さんにはまず、どんなおばあさんになりたい? と聞きます。母親に骨折歴があれば、骨粗鬆症が心配ね。ホルモン補充療法(HRT)を試してみよう、一生キラキラで行こうよ、と話します。実際、HRTを始めると、嘘みたいに元気になって、心も上向きになります。更年期世代の女性同士じゃないとわかり合えない体験の共有で、お互いにご機嫌になれるところも面白い」

種部さん自身もまさに更年期。

「昨年までOC(低用量ピル)を使っていて、いったんやめました。ホルモン値は下がってきたけれど、まだ月経はあるので、様子をみているところなんです。これから何が起こるのか楽しみ。閉経後は、HRTを、ずっと続けるつもりです」

たねべ・きょうこ●専門は生殖医療、思春期・更年期、女性医療。女性の健康に関して積極的に社会活動を行っている。
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