からだ

内またとお腹を引き締めて
身体の代謝を上げるヨガのポーズ。

年齢とともに基礎代謝は自然と下がります。ヨガのポーズで筋肉にアプローチし、体のラインを心地よくキープしましょう。今回は内またとお腹を引き締めて代謝をアップするポーズ、腸腰筋にアクセスするポーズ、骨盤の位置を正しく矯正できるポーズを紹介。

 

年齢を重ねてもスマートな体型を維持する一番の近道は、代謝を上げること。そのためには深層筋(インナーマッスル)と表層筋の大きな筋肉を使うと効率がよくなる、とヨガインストラクターの上田玲子さん。

「深層筋は赤身の筋肉で、持続力があって疲れ知らず。なかでも腸腰筋は丹田を通る筋肉で、運動効果が高いんです。加えて表層の大きな筋肉、たとえばおしりの大臀筋や、太ももの大腿四頭筋といった筋肉を使うとより運動量が増えて、シェイプアップにつながります。女性はとくに太ももの筋肉がそげやすいので鍛えましょう」

代謝が上がると、脂肪が燃えやすくなって老廃物も排出しやすい。まず準備運動として、スクワットを20~30回、呼吸しながら繰り返そう。体が温まり、ヨガのポーズがしやすくなる。

 

内またとお腹を引き締めて代謝をアップする「ワシのポーズ」

手脚をからませながら、バランスをとるヨガの代表的ポーズの1つ。
「正式には片脚でバランスをとるポーズですが、今回は組んだ脚を床につけたまま行い、手脚もからませないのでやりやすいと思います。シンプルにした分、代謝アップには効果的です」
ポイントはクロスした内またに力をギューッと入れ、太ももを締めつけ合うこと。ポーズをとっている間に体がカーッと熱くなってくる。
「まず脚を組むときに骨盤が回っていかないように、お腹に力を込めること。太ももの内側にある内転筋群や、もも前面の大腿四頭筋、もも裏側のハムストリングスなどに効果を発揮します」
脚を締めるので美脚効果があり、O脚の改善にもつながる。
「余裕があれば、肛門や会陰を引き締めて吊り上げるように行うと、膀胱、子宮、直腸などの臓器を支える骨盤底筋群のトレーニングにもなります。ぽっこりお腹の原因でもある内臓下垂や、尿漏れの予防にもなりますよ」

1.つま先を揃え、かかとは少し離して立つ。これで膝が正しく近づく。腰骨に手をかけ、左足で床を踏むイメージで重心を乗せる。
1.つま先を揃え、かかとは少し離して立つ。これで膝が正しく近づく。腰骨に手をかけ、左足で床を踏むイメージで重心を乗せる。
2.お腹にギューッと力を入れ、前かがみになりながら両膝を曲げる。右ももを上から乗せるようにして両脚を組む。右つま先は床につける。
2.お腹にギューッと力を入れ、前かがみになりながら両膝を曲げる。右ももを上から乗せるようにして両脚を組む。右つま先は床につける。


3.両ひじを曲げ、手のひらを並べて顔に向ける。お腹と内またを引き締め、太ももを締めつけ合うようにして立つ。呼吸をしながら5〜10秒保って、2から1へ戻り、反対側も行う。
3.両ひじを曲げ、手のひらを並べて顔に向ける。お腹と内またを引き締め、太ももを締めつけ合うようにして立つ。呼吸をしながら5〜10秒保って、2から1へ戻り、反対側も行う。


 

丹田を引き上げるイメージで腸腰筋にアクセスする「椅子に腰かけるポーズ」

効率的に代謝を上げるカギをにぎるのが腸腰筋。上半身と下半身を結ぶ大きな筋肉で、姿勢保持や脊柱の安定に関わり、骨盤の安定、骨盤の回転をサポートする働きがある。ただ内臓と脊椎の間にあるため、意識しづらいインナーマッスルだ。
「腸腰筋にストレートに効くのが、椅子に腰かけるポーズです。このポーズを行うときに重要なのが『丹田を引き上げるようにイメージする』こと。丹田は気の集まる場所として知られていますが、おへその下5㎝ほどの奥まったところにあり、腸腰筋はまさに丹田を通っている筋肉です。丹田の引き上げをわかりやすく例えるなら、キツいジーンズを穿くときにファスナーを上げていく感じに似ていますね(笑)」
ポイントになるのは、骨盤の角度を変える2→3への動作の変化。丹田を引き上げて骨盤を縦にしていくのだが、わかりにくい場合は、尾骨を床に向けたり、恥骨を前方に押し出すようにするのがコツ。

つま先を揃え、かかとは少し離して立つ。腰骨に手をかける。
1.つま先を揃え、かかとは少し離して立つ。腰骨に手をかける。
椅子が遠くにあるつもりで、お尻を後ろに引きながら膝を曲げる。膝は開かないように揃え、つま先より前に膝が出ないように曲げる。
2.椅子が遠くにあるつもりで、お尻を後ろに引きながら膝を曲げる。膝は開かないように揃え、つま先より前に膝が出ないように曲げる。


息を吐きながら丹田(おへその下5㎝くらいの場所)を引き上げて、骨盤を立てていく(尾骨を床に向ける)。息を吸いながら2、吐きながら3を繰り返し、呼吸しながら3の状態を5〜7秒キープする。
3.息を吐きながら丹田(おへその下5㎝くらいの場所)を引き上げて、骨盤を立てていく(尾骨を床に向ける)。息を吸いながら2、吐きながら3を繰り返し、呼吸しながら3の状態を5〜7秒キープする。
4.ゆっくり1の姿勢に戻って呼吸をととのえる。
4.ゆっくり1の姿勢に戻って呼吸をととのえる。


 

両脚を広げてしっかり立って骨盤を動かす「三角のポーズ」

ヨガで最も代表的なポーズの1つ。骨盤をダイナミックに動かすことで、腰がよく伸び、脇も脚もきれいに伸びて、骨盤の位置を正しく矯正できる。
「体を倒すときは骨盤を横に押し出すようにして、もうこれ以上動かないところまできたら、片手を脚に置き、もう一方の手を上に伸ばします。戻すときも骨盤を意識して、引き戻すようにします。終始、背骨はまっすぐに伸ばしましょう」
運動効果では3で骨盤を横に押し出すときに、下肢とともにインナーマッスルの腸腰筋が活発に使われるので、代謝アップに効果大。
「このポーズは骨盤を動かすので、腰痛緩和、便秘解消、冷え性の改善にもつながり、女性におすすめです」
ヨガでは背骨に「気」の通り道があると言われている。このポーズを行うときに背骨をまっすぐ保つようにすると、「気」の流れがよくなり元気が出る。また、体を大きく動かしたあとは心身のリラックスにもつながっていく。

1.脚を大きく開いて立つ。左足先は外側に向け、右足先は正面に向け、お腹を全体的に引き締めながら息を吐く。
1.脚を大きく開いて立つ。左足先は外側に向け、右足先は正面に向け、お腹を全体的に引き締めながら息を吐く。
2.息を吸いながら腕を横に 伸ばす。
2.息を吸いながら腕を横に伸ばす。


息を吐きながら、骨盤を右側に押し出すようなイメージで、上体を左に倒す。
3.息を吐きながら、骨盤を右側に押し出すようなイメージで、上体を左に倒す。
4.骨盤の動きが止まったところで左手は左脚に置き、右手は上に伸ばして3〜5秒キープ。息を吸いながら2→1と戻す。脚を替え反対側も行う。
4.骨盤の動きが止まったところで左手は左脚に置き、右手は上に伸ばして3〜5秒キープ。息を吸いながら2→1と戻す。脚を替え反対側も行う。


 

◎上田玲子さん ヨガインストラクター/「オーガニックライフTOKYO」などのヨガ講師として活躍。インナーマッスルを鍛え、ぶれない体幹を作るメソッドに定評。

『クロワッサン』925号(2016年5月25日号)より

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