味噌汁にチーズ、油はオメガ3系。
血管を若返らせる食事のポイント。
血液・血管が原因の病で亡くなっている日本人の数はがんと同等。「血管力」の大切さと血管の若返り法を説く、専門医の池谷敏郎さんのふだんの献立から、必要な栄養素の摂取方法を学びます。
血管を若返らせるには、BMI(体重㎏÷身長m÷身長m)18・5〜25の、太りすぎでもやせすぎでもない体型を目指したい。
食事面では池谷さんの場合、
「『決まった時間に3食摂り、1食分を軽く』『腹八分目にして、摂取カロリー抑制』『栄養バランスよく、糖質は控えめ』という3原則を守り、BBMI21台を維持しています」。
具体的なコツを池谷さんの献立から学びましょう。
朝はジュースとプレーンヨーグルトが定番

生の野菜と果物は朝のジュース習慣で。
ビタミン、ミネラル、ポリフェノールなどの栄養素を生で摂取できるジュースが朝食の定番。主食は食べないが、ジュースに含まれる少量の糖質と食物繊維で昼食まで腹持ちはいい。オメガ3系脂肪酸のアマニ油は、小匙1程度を毎日摂っている。
腸内環境をよくして免疫力もアップさせる。
プレーンヨーグルトは毎日。おやつにする時は糖質入りのことも。ヨーグルトやチーズなどの発酵食品は腸内環境を整えてくれる。
血管の強い味方、ラクトトリペプチド。
ブルーチーズなどに含まれるラクトトリペプチド(LTP)には血圧を降下させ血管内皮細胞の機能を改善する効果があるという研究データが。
高血圧でなくても、血管ケアに減塩は必須。
塩分の摂りすぎは、高血圧の原因。さらに直接、血管を痛めつけ硬化させてしまう。だしなどの旨味、酢などの酸味を活用して減塩を心がけて。
油はオメガ6系よりもオメガ3系を多くする。
体内で血管内皮細胞の働きを助けるEPAに変わるアマニ油やエゴマ油(オメガ3系脂肪酸)を1日に小匙1ほど摂りたい。日常生活で自然と摂取してしまうオメガ6系脂肪酸(大豆油、コーン油など)は、それより少なくするのが理想の比率。
昼はコンビニメニューから賢く選ぶ。

野菜は多種をたくさん。カリウムで元気な血管に。
池谷さんは昼食をコンビニで調達。弁当よりアラカルトで選び、野菜をたくさん食べられるように。野菜に豊富に含まれるカリウムはナトリウムを排出させる働きがあり、血圧を安定させる。
血管を丈夫にするタンパク質はしっかり。
タンパク質は血管をつくる細胞の原料となる大切な栄養素。不足しないように、しっかり食べたい。この日はコンビニ調達の豚の生姜焼きと卵。これに常備しているアマニロースト(いりゴマ状のアマニ)をふりかけ、オメガ3系脂肪酸も補給。
ごはんは冷めた状態で食べるのがベター。
加熱してから冷めたでんぷんは再結晶化しレジスタントスターチ(難消化性でんぷん)に変化。腸内吸収が抑えられ血糖値を上げにくい。
満腹感アップのカボチャスープ
野菜から溶け出すファイトケミカルやビタミンも汁ごといただける。満腹だと感じたらおにぎりは減らす。
太りにくい時間にとればおやつもOK

コーヒーやチョコレートにはポリフェノールなどの抗酸化物質が豊富。チョコレートはカカオ含有量の高いものを選んで。体内時計の関係で、午後2時ごろに食べれば太りにくい。
夜は主食の量と食べる順番もポイント。

適量を守れば、お酒は血行促進に。
適量を守れば、お酒を飲むと血行がよくなり動脈硬化を抑制する作用も。ほろ酔いのリラックスは、ストレス解消にも役立つ。量を決めていないと、飲みすぎはもちろん食べすぎにもつながるので注意を。
酢と海藻の効果をダブルで味わう。
酢には血圧低下作用があるとのデータも。またワカメなどの海藻はミネラルや水溶性食物繊維が多く、腸内の糖質の吸収を遅くする。
肉とカラフルな野菜を加熱変成しにくいオリーブオイルで炒めて。
夕食では、ブロッコリースプラウトやトマトなどの抗酸化力の高い野菜を使ったサラダに加えて、たっぷりの野菜やキノコに脂質の少ない肉で良質のタンパク源も摂取できる肉野菜炒めを。オレイン酸が豊富で加熱変成しにくいオリーブオイルを使用。
血管強化の味噌汁はタマネギ&ブルーチーズ。
味噌汁の具には、抗酸化作用が高く血液をサラサラにしてくれるケルセチンを含むタマネギが定番。さらに、血管力を高めるラクトトリペプチドを豊富に含むゴーダチーズをちょい足しすると最強。チーズでコクが深まる分、味噌を減らすことで、塩分の摂りすぎも防げる。
主食はざっくり半分に。最後に食べるのもコツ。
高血糖、肥満ぎみの人は、ごはんなどの主食を食べすぎていることが多い。まずはざっくり主食を今の半量にし、その分のカロリーを野菜・果物・タンパク質に回そう。また主食を食べる順序を最後にすることで、血糖値の急上昇を防ぎ、そこまでに満腹になれば食べないという選択も。
ホイル焼きにしてEPAを逃さずいただく
血管内皮細胞の働きを助けるエイコサペンタエン酸(EPA)は積極的に摂りたい。青魚や、マグロ(トロ)、サケなどに豊富。焼くとEPAが少し失われるので、サケなどは野菜・キノコを添えてホイル焼きがおすすめ。煮魚や缶詰は汁も利用して。
◎池谷敏郎さん 医学博士/1962年、東京生まれ。池谷医院理事長兼院長として臨床現場に立ちながら、血管、血液、心臓など循環器系専門家として、テレビ、文筆活動、講演などで活躍。
『クロワッサン』923号(2016年4月25日号)より

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