耳鼻咽喉科医に聞く、花粉症対策、きほんの「き」。
うめだ・よしお
くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみ……。「今年もこの季節が来たか」と、ユーウツな気持ちになっている人は少なくないことでしょう。ご存知のように花粉症は、スギやヒノキなどの花粉が原因となって起こるアレルギー疾患。
「インフルエンザウイルスもスギ花粉も、わたしたちの体に入って迷惑をかける物質で、それを『抗原』と呼んでいます。抗原が体に入ってくると、応戦するために生まれるのが『抗体』。抗原の花粉が徐々に体内にたまり、抗体が増え、許容量を超えると、バケツから水があふれるように花粉症を発症してしまうのです」
昨年までなんともなかった人が、ある年急に発症して新たな患者が増えてゆく、と、梅田悦生さんは言います。
花粉の季節を上手に乗り切るためには、まず、一年を通じて健康的な生活を心がけること。
「規則正しい生活が大事ですね。十分に睡眠をとる。適度な運動を行う。冷えは免疫力を下げますから、体を冷やさないように。食事もバランスよく。乳酸菌製品、たとえばヨーグルトなどを食習慣に取り入れてみるのもいいでしょう」
リンパ球のT細胞には、抗体を作るよう指令を出すTh1、Th2という2種類の細胞が存在しています。Th1、Th2はシーソーのようにバランスをとりながら働いていますが、このバランスが崩れてTh2が優位になると、花粉症などのアレルギーを発症しやすいといわれています。
「一部の乳酸菌には、Th1を強化してTh2を抑える働きが確認されています。わたしも2年以上前から毎朝ヨーグルトを摂っていますが、風邪もほとんどひかず、スギ花粉症の症状も少し楽になったような気がします」
花粉が飛び始めたら、なによりも花粉を体に入れないよう対策を。
「マスクは風邪を予防する意味でも、冬の間から着けておくといいでしょう。メガネも大事。伊達メガネで80~90%くらい花粉を除外できるといわれています。外から帰ったら、うがい、手洗い、洗顔で、花粉を落とすことも忘れずに。また、症状が出る前に医療機関にかかってアレルギー薬を服用しておくと、症状が重くなってから服用するより効果があります」
残念ながら花粉症は、一生ついてまわる疾患です。
「健康的な生活、花粉の防御、早期治療で、しっかり乗り切っていきましょう。患者さんの中には、原因不明で突然花粉症が治る人もいます。20人に1人くらいですが、もしかしたらその1人になれるかもしれませんよ」
体調を整えておく。
□十分に睡眠をとる。
□適度な運動を続ける。
□体を冷やさない。
□バランスのよい食生活を送る。
□マスク、メガネ、帽子などで花粉の付着を防ぐ。
□外から帰ったらうがい、手洗い、洗顔を励行する。
□花粉が付着しやすい素材の服を避ける。
□窓を開けない。
□洗濯物を外に干さない。
□症状が出る前に早期治療を行い、アレルギー薬を服用するなどの対策をとる。
クロワッサン倶楽部 EDITOR’S CHOICE
「強さひきだす乳酸菌」を標榜するR-1乳酸菌を使用したヨーグルト。R-1乳酸菌のつくりだすEPS(多糖類)に、その秘密があると考えられている。まろやかな味わいで、毎日おいしく続けられる。
レンズのまわりのフレームが顔にフィットして、花粉の侵入を防止。4サイズあって、顔に合ったサイズを選べる。「今日は花粉がすごい」と思ったときに、ドラッグストアで気軽に買える価格。
花粉症の人の必需品・マスク。外出時、マスクに花粉が付着するため、帰宅のつど捨てられる手ごろな価格のものを選ぶのも一案。ときどきは、色や柄の入ったファッショナブルなマスクで気分転換を図るのも楽しい。
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