糖質疲労を改善! 今日からできる血糖コントロールのヒント
イラストレーション・おざわさよこ 構成&文・薄葉亜希子
「その眠気もだるさも糖が原因? 正しく知って、糖質疲労を防ぐ」から続く
糖質制限ブームもあってか、糖質に悪いイメージを持つ人は少なくない。
「本来、糖質は脳や体が活動するための大切なエネルギー源。重要な役割を担います」と話すのは、糖尿病専門医の薗田憲司さん。糖質はとりすぎてもとらなさすぎてもダメと続ける。
まずは一日の適正量を知り、3食きちんと糖質をとることから。食べる順番や食後のプチ運動も心がけたい。
「2週間ほど続けたら、体が軽やかに変わるのを感じられますよ」
【食べ方① 朝食】一日の血糖値安定のカギは朝にあり! たんぱく質をしっかりとる
最も血糖値が下がる朝。朝食抜きで低血糖のままだと昼食や夕食後の血糖値スパイクが起きやすくなる。さらにエネルギー源である血糖を補うために筋肉の分解が進むので、朝食は欠かさず食べること。
「“セカンドミール効果”といい、朝インスリンの分泌を促すと次の食事でもスムーズに働くんですね。特に朝のたんぱく質は筋肉量を保ち、健康的であるためにも必須です。定番の献立で習慣にするとラク。下はおすすめの例です」(薗田さん)
【食べ方② 食前】日中の血糖値上昇をゆるやかにする食前ドリンクを味方に
植物が持つ健康成分のポリフェノール。抗酸化作用で知られるが、血糖値スパイクの予防にもひと役。
「たとえばコーヒーはクロロゲン酸、緑茶はカテキン、ルイボスティーはアスパラチン。また、トマトジュースはリコピンなどの機能性成分が含まれています。食前に飲むと血糖値の上昇を抑制する効果があります」
コーヒーとトマトジュースは選ぶ際に気をつけたいポイントがある。
「クロロゲン酸には浅煎りのコーヒーがおすすめ。基本はブラックですが、苦手なら無調整豆乳を入れてもOK。トマトジュースは食塩、砂糖、果糖ブドウ糖液糖入りを避けること」
【食べ方③ 間食】少量の糖質をとり、夜に向けてインスリンの分泌をスタンバイ!
ゆるい糖質オフとはいえ、間食はNGに思えるが、実は逆。少量を上手に取り入れて夕食の前にすい臓の準備運動を。
「低糖質で栄養のあるおやつを選び、糖質10gまでを目安にします。たんぱく質がとれるギリシャヨーグルトや糖質量が控えめのプロテイン、カカオポリフェノールを含む高カカオチョコレート、良質な油や食物繊維を含むナッツなどをお好みで。フルーツもビタミンがとれ、特に皮も食べると栄養満点。イチ押しはブルーベリーです」
【食べ方④ 夕食】夜は20分以上かけてゆっくり食べて。急な血糖値上昇を防ぐ
「比較的時間にゆとりのある夕食はゆっくり食べるのを意識。インスリンが少しずつ分泌されて血糖値の上昇がゆるやかになります。少し行儀が悪いかもしれませんが、ながら食い、ダラダラ食いを推奨します」
よく噛んで食べ、たまに箸を置いて会話を楽しめば満足感もアップ。
「朝や昼は時間がなく難しいので、準備や作業をしながらちょこちょこと分けて食べたり、食前ドリンクを取り入れたりと工夫してみましょう」
【食べる順番】半分カーボラストで血糖値スパイクを起こさない
ベジファーストが体にいいと聞いたことのある人も多いのでは。野菜を先に食べると血糖値の上昇を防ぐ効果がある。食物繊維、たんぱく質、糖質の順番がいいとされているが、ごはんだけを残して食べるのは味気ないもの。
「そこで試してほしいのが“半分カーボラスト”。食事の中盤におかずとごはんを交互に、最後に残りのごはんを食べます。血糖値のアップダウンをゆるやかにしながら、食の楽しみも両立できますよ」
【注意したいもの】吸収が早く、血糖値が即効上がる甘い飲み物はほどほどに
「体にいいものを心がけるのと同じくらい大事なのが、よくないものを控えること。見逃しやすいのが甘い飲み物です」
なぜ飲み物かといえば、液体の糖質はすみやかに腸から吸収されて一気に血糖値がアップするから。健康によかれと思って飲んでいるものに含まれる糖質量の目安を以下に紹介。角砂糖1個の糖質が約3.3gと考えると……。けっこうな量の糖質を含んでいることがわかる。
【とりたいもの】食物繊維を自然にとれる食材をパートナーに
食物繊維は血糖値の上昇を抑え、腸内環境を整えるなどいいことずくめ。ただどうしても不足しがち。
「野菜だけでは難しいので、主食を未精製の茶色のものにしたり、ネバネバ食材を献立に一品加えたり自然にとれるのが理想です。特にネバネバ食材の水溶性食物繊維は腸内で糖の吸収を抑える働きがあります。飲み物や食べ物に混ぜてとれる食物繊維のイヌリンも手軽で便利。僕はプロテインに加えて飲んでいます」
【運動】効果てきめん! 食後は体を動かして血糖値スパイクつぶし
食べてすぐ寝ると牛になる。消化不良の話でよくいわれるが、血糖値の観点からも食後は体を軽く動かすのがベター。
「これ、食後の眠気を抑えるのにすごく効果的です。何もハードな運動である必要はありません。下の表の“メッツ”とは、安静時を1として比べた身体活動の強さを表したもの。皿洗いや歩くだけでも血糖をエネルギーとして消費できます。また足腰の筋肉は全身の筋肉の約6割を占めるので、スクワットや階段の上り下りもおすすめ。効率よく消費できます」
『クロワッサン』1149号より
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