見た目からは気づかない、隠れ肥満と隠れ栄養失調に要注意
文・長谷川未緒 イラストレーション・鈴木衣津子
中高年以降は、隠れ肥満や隠れ栄養失調になりやすいと語るのは、慢性疾患の治療を行うサルスクリニックの医師・上條由佳さんだ。
「女性ホルモンの変動で脂肪がつきやすくなったり、加齢で代謝が落ちてきたりするため、それまでと同じ食事をしていると内臓脂肪が増加して隠れ肥満に。また、更年期で食欲が低下したり、子どもが独立して食事を作る気力がなくなったりして、いつも決まったメニューで済ませていると、栄養不足状態になることも。隠れ肥満でありながら、栄養失調という方もいますよ」
どちらも健康寿命に大きく影響するため、早めに改善しよう。次から詳しく紹介するが、どちらのタイプも共通して言えるのは、バランスの良い食事と、とにかく筋力アップ。なかなか自覚しにくいため、少しでも気になる人は専門医による診察を受けよう。
[隠れ肥満]→見た目は太っていないのに、内臓脂肪が多い。
医学的にはサルコペニア肥満といわれる。身長と体重から肥満度を測るBMI(体格指数)では普通体重に分類されるのに、筋肉や骨の量が少なく、内臓脂肪が多い状態をいう。肥満体形ではないため本人も周りも気づきにくいが、体組成計で計測したときに体脂肪率が30%を超える、手足は細いのに腹囲はぽっこりとしていて90cm以上ある場合は、隠れ肥満の可能性大。
こんな人は要注意!
・運動する習慣がない
・外食・間食が多い
・食でストレス発散している
・生活が不規則
運動不足による筋力低下、間食や外食が多い生活習慣が隠れ肥満を引き起こす。間食や外食は、油脂が多く高カロリーになりがち。リモートワークで通勤時間が減った人、仕事や家事で忙しく、体を動かす時間を作ることが難しい人は、筋肉量の減少が気になるところ。ストレスによる暴飲暴食や睡眠不足のほか、遺伝、加齢による代謝低下等も、要因になる。
放っておくとこんなことが!
・生活習慣病のリスクが高まる
・体力が低下する
・冷え、痛みが出やすくなる
高血圧、糖尿病、脂質異常を合わせもつメタボリックシンドロームになりやすく、心筋梗塞や脳梗塞、脳出血などの血管疾患や、がんなどの生活習慣病を発症する危険性が上昇する。また、筋肉量が少なくなることにより、体力・免疫力の低下、血流が悪く冷えやすい、関節等の痛みが出やすくなるといった恐れもある。
改善策は、これ!
・毎日、体組成計で測定する
・有酸素運動をする
・間食はヘルシーなものに
まずは腹囲をチェックし、毎日体組成計で体脂肪率を測ること。これだけでも意識が高まるはずだ。また、脂肪を燃焼させるには有酸素運動が役立つ。たとえば息が切れるくらいの早歩きを20分、少なくとも週に3回以上行うこと。間食の習慣がある人は甘いものではなく、カルシウムが摂れる乳製品や、ビタミン、ミネラルが多いフレッシュフルーツを選ぼう。
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