見た目からは気づかない、隠れ肥満と隠れ栄養失調に要注意
文・長谷川未緒 イラストレーション・鈴木衣津子
[隠れ栄養失調]→見た目は元気でも、必要な栄養素が摂れていない。
毎日3食摂っていたとしても、たんぱく質やビタミン、ミネラルなどの栄養が不足し、筋肉量も少ない状態をいう。新型栄養失調ともいわれ、医学的な定義はないもののシニアに増えていることが問題になっている。確定診断には血液検査が必要だが、最近体重が落ちた、疲れやすい、歩く速度が遅い、全身の筋肉と相関する握力が弱い人などは、隠れ栄養失調の可能性大。
こんな人は要注意!
・好き嫌いがあり、偏食
・おにぎりやパンだけの食事が多い
・自律神経が乱れている
・アルコールをよく飲む
隠れ栄養失調は特定の栄養素が不足することで起こる。いつも同じものを食べている人、多忙や孤食で食事を簡単に済ませている人はたんぱく質、ビタミン、ミネラル、食物繊維が不足しがちに。また、更年期やストレス等で自律神経の失調があると、胃腸の動きが停滞し消化吸収が悪くなる。飲酒はビタミンB1不足の一因になるので飲み過ぎは厳禁だ。
放っておくとこんなことが!
・骨折しやすくなる
・身体機能低下、フレイルに
・認知機能が低下する
カルシウムとビタミンDの不足は骨粗鬆症になりやすく、骨折のリスクが増加。また、たんぱく質不足や運動量の減少により筋肉量が減ると、身体機能が衰えて通常の生活ができなくなる。さらに心身の活力がなくなるフレイル状態にもなりやすく、病気や認知機能の衰えを引き起こす。ビタミンB群の不足も、記憶力の低下やうつ症状を招く恐れが。
改善策は、これ!
・多様な食材を取り入れる
・口腔内のケアをする
・いろんなスーパーに行くようにする
毎日できるだけ多くの食材を食べるよう、心がけよう。食事量が少ない人は栄養補助食品の活用も。また、口腔環境の悪化で唾液が減り、消化吸収に悪影響が起きることもあるため、オーラルケアは重要。そして、決まったスーパーばかりだと同じものを買ってしまいがち。違う店まで足を延ばすと運動不足も解消され、普段買わない食材を手に取るきっかけにも。
『クロワッサン』1133号より
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