“コーヒー×健康”のうれしい関係。コーヒー由来の健康成分に注目!
撮影・青木和義 文・小沢緑子 PR/UCC上島珈琲
コーヒーはおいしいのはもちろん、健康にいい成分が含まれているのが魅力です。
植田恵美さん(以下、植田) 石原先生はコーヒーの健康効果についてのご著書も出されていて、もともと大のコーヒー好きだそうですね。
石原藤樹さん(以下、石原) 学生時代からコーヒー党で、今も毎朝自分で淹れたコーヒーをステンレスボトルに入れてクリニックに持っていきます。私の生活や診療の傍らには、常にコーヒーがありますよ。
植田 それはコーヒー専業メーカーの研究者としても、とてもうれしいお話です。
有木真吾さん(以下、有木) コーヒーと健康については、いつ頃から注目されたのですか?
石原 医師になってからいつしか興味が湧いて、20年以上前にクリニックで患者さんの問診時に「コーヒーをどのくらい飲むか」の聞き取りを始めました。データを蓄積したところ、診察の経過と合わせても「コーヒーを多く飲む人は、飲まない人に比べて糖尿病になるリスクが低い」という傾向が見えてきたのです。あとからそういう学術論文もでてきて、今はコーヒーに糖尿病の予防効果があることはほぼ確定されています。
植田 コーヒーが健康に良いという報告は、今や世界各国の研究機関からも数多く紹介されるようになりましたね。
石原 画期的だったのは、2012年にアメリカの著名な医学誌『The New England Journal of Medicine』に掲載された「コーヒーを飲む人は飲まない人に比べて、総死亡リスクの低下が認められた」という論文でしたね。
それ以降、ほかの医学誌にも次々とコーヒーと健康に関わる論文が掲載されて、世界的にコーヒーは健康に良いという見解に傾いていきました。
有木 コーヒーと健康の研究について、どんな点が面白いと思われますか?
石原 各国の研究論文を通して、「国や人種を超えて、コーヒーで同様の健康効果が得られた」ことが、とても興味深かったです。世界中でコーヒーほど愛されて飲まれている飲み物はほかにはあまりないので、大きな意義があると思います。
植田 コーヒーで確認されるとそのインパクトは大きいと私も思います。
石原 今では世界中どこの国の食事ガイドラインでも、1日3、4杯くらいコーヒーを飲むことは“健康的な生活習慣のひとつ”として評価されていますね。
コーヒーの“第3の健康成分”が「トリゴネリン」。
植田 UCCではコーヒーの研究は50年前から続けていて、健康効果についての研究は今から20年以上前、2000年以降に本格的に始まりました。
ただ、コーヒーに含まれる成分は膨大で、存在自体はわかっていても、その機能までまだよくわかっていないものも多いです。
石原 コーヒーには体の生理活性物質(生理作用に何らかの作用をもたらす物質)が豊富に含まれていますからね。たとえば、抗酸化作用があるクロロゲン酸類は、健康に良い効果があることはわかっていますが。
植田 コーヒーポリフェノールと呼ばれるコーヒー由来クロロゲン酸類について、UCCでも「食後の血糖値の上昇を抑える機能」など、さまざまな可能性を追求してきました。ほかにもコーヒー由来の健康成分としてよく知られているものにカフェインもあります。
そのカフェイン、クロロゲン酸類の次に期待できる “コーヒーの第3の健康成分”として、UCCでは早くから「トリゴネリン」に注目して研究を進めてきました。
トリゴネリンは、「代謝」にも影響。
石原 トリゴネリンは、コーヒーに多く含まれる成分ですね。これまでの医学的な論文ではコーヒーが健康に良いことは確認されても、どの成分がどう影響しているかあまり分析まではしないので非常に興味があります。
有木 トリゴネリンは、たとえばスパイスカレーによく使われる香辛料のフェヌグリークや一部のマメ科の植物などに幅広く存在しますが、特にコーヒーに豊富な成分です。
ただ、カフェインやクロロゲン酸類と比べるとこれまで研究がほとんどされていませんでしたが、少ないながらも「脂肪細胞への脂肪の蓄積を抑制する」など興味深いデータがありました。
植田 コーヒーの「代謝」への影響は、UCCでも以前から注目してきました。
そこで40代から60代の世代にアンケート調査をしたところ、「10年前と比べて、体重を落としたり、スタイルを維持しづらくなったのはなぜだと思いますか?」という質問では、男女とも「基礎代謝の低下と認識」している人が約7割から8割という結果を得ました。
有木 ほかにも「基礎代謝を上げたいと思いますか?」とストレートに聞いたところ、「そう思う」と回答した人は男女とも約9割で、体の健康や体型にも関心が高い年代であることもわかりました。
そんな世代に向けて、トリゴネリンが多く含まれているコーヒーを役立てられないかと考えたことも、トリゴネリン研究が始まったきっかけです。
石原 トリゴネリンが「代謝」に影響する作用があることは、医学的にもある程度はわかってきていますね。
植田 その代謝の中でも、UCCでは「安静時エネルギー消費量」に注目しました。ご存じのように、人間の体は読書中やテレビを見ている時、デスクワークをしている時、 また食事をしている時など、体を動かしていない状態でも多くのエネルギーを消費しています。コーヒーに含まれるトリゴネリンで、1日の大部分を占める安静時のエネルギー消費量を高めるサポートができれば、多くの人が継続的に無理なく、体重や体型などのスタイル維持につながる“習慣”にできるのではないかと考え、それを研究開発の目標にしました。
有木 具体的に研究を進めたところ、今回、コーヒー由来トリゴネリンには「BMIが高めの方の安静時のエネルギー消費の向上をサポートする働きがあること」、これを示唆するメカニズムとして「脂肪蓄積型の白色脂肪細胞が、脂肪燃焼型のベージュ脂肪細胞へと変化する」ことも確認しました。
それを今回、トリゴネリンの量が豊富でおいしさとのバランスを追求した、機能性表示食品のコーヒーとして商品化しています。
石原 健康にいい効果があると科学的に確認されたトリゴネリンが豊富なコーヒーなら、たとえば「今週は運動不足だったから、あのコーヒーを飲もうかな」などという飲み方もできそうですね。
植田 そういう選択肢も、機能性表示食品のコーヒーなら広がると思います。ぜひ毎日の生活に取り入れていただいて、コーヒーの健康という側面からの新しい魅力も楽しんでほしいと思います。
トリゴネリンが豊富なコーヒーを毎日の生活に。
石原 コーヒーに含まれるトリゴネリンで面白いと思ったのが、コーヒー豆の焙煎前と後では成分が変化することです。どちらも健康にいい作用はありますが、焙煎するとトリゴネリンはビタミンB3であるニコチン酸に変わりますね。
有木 先生が言われるとおり、コーヒー豆は焙煎するとトリゴネリンの量が減っていくので、臨床試験で代謝に対して有効に働くことがわかったトリゴネリンの量を担保するために、開発の過程で膨大な数の組み合わせから最適解を探す作業をする必要性がありました。
植田 一般的にコーヒー豆は浅く焙煎したものほど酸味が強く、深く焙煎するほど苦みが強く感じられるようになります。香りや味はコーヒーの大きな魅力のひとつですので、今回新しく商品化したトリゴネリンが豊富なコーヒーも、何度も試作を重ねながら味の評価とトリゴネリン量の分析を繰り返し、バランスのよいものを作り上げました。
石原 コーヒー好きは香りや味にこだわりがある人が多いのでうれしいと思います。
植田 もうひとつ、今回の機能性表示食品として商品化したコーヒーの特徴は、カフェインレスであることです。UCCではカフェインレスコーヒーに関しても、長年おいしさの研究を重ねているので、“健康を気遣いながら、毎日おいしく味わえる飲みやすいコーヒー”に仕上がっています。
石原 カフェインレスだと昼夜を気にせず好きなタイミングで飲めますし、より多くの人に楽しんでもらえそうですね。
有木 今回のトリゴネリンが豊富な機能性表示食品のコーヒーは、1日4杯で有効量が摂れる設計にしています。機能性も味わいもこだわっていますのでぜひブラックで、そして気軽に楽しんでいただけたらと思います。
<POINT>
注目のコーヒー由来の「トリゴネリン」とは?
●トリゴネリンは、今、注目の“コーヒーの第3の健康成分”。
●マメ科の植物などに幅広く含まれていて、特にコーヒーに豊富。
●コーヒー由来トリゴネリンがもつ健康効果が、科学的に確認された。
□「BMIが高めの方の安静時のエネルギー消費の向上をサポートする働きがある」ことを確認。 ⇒CHECK 1へ
□さらに「脂肪蓄積型の白色脂肪細胞から、脂肪燃焼型のベージュ脂肪細胞への変化を促す」と推定。 ⇒CHECK 2、CHECK 3へ
【CHECK 1】コーヒー由来トリゴネリンに、「BMIが高めの方の安静時のエネルギー消費の向上をサポートする働きがある」ことを確認。
コーヒー由来トリゴネリンによる、安静時のエネルギー消費量の影響を研究した結果が、下のグラフ。BMIが高めの人(BMI23〜30)において、コーヒー由来トリゴネリンを摂取した「トリゴネリン群」は、トリゴネリンが含まれていないプラセボ食品を摂取した「プラセボ群」に比べると、8週間後の安静時のエネルギー消費量が有意に高くなった。この結果から、コーヒー由来のトリゴネリンには「BMIが高めの方の安静時のエネルギー消費の向上をサポートする働きがある」ことが確認された。©UCC上島珈琲
トリゴネリン摂取8週後の安静時エネルギー消費量が有意に高くなった。
【CHECK 2】さらに、コーヒー由来トリゴネリンは、「脂肪蓄積型の白色脂肪細胞から、脂肪燃焼型のベージュ脂肪細胞への変化を促す」と推定。
CHECK 1の実験で「安静時エネルギー消費量の向上」が確認されたグループにおいて、鎖骨上窩部の褐色脂肪密度(褐色脂肪細胞とベージュ脂肪細胞の合計密度)の変化を研究したのが、下のグラフ。コーヒー由来トリゴネリンを摂取した「トリゴネリン群」は、トリゴネリンが含まれていないプラセボ食品を摂取した「プラセボ群」に比べると、安静時のエネルギー消費量が高くなるCHECK 1の研究結果に連動するように、8週間後に褐色脂肪密度が高くなる傾向が確認された。つまり、「コーヒー由来トリゴネリンは、脂肪蓄積型の白色脂肪細胞から、脂肪燃焼型のベージュ脂肪細胞に変える働きを促す」と推定される。 ©UCC上島珈琲
トリゴネリン摂取8週後の褐色脂肪密度が高くなった。
【CHECK 3】コーヒー由来トリゴネリンの添加により、「白色脂肪細胞のベージュ脂肪細胞化」を示唆。
細胞内で脂肪を蓄積する白色脂肪細胞を取り出して行った細胞試験が、下の画像の比較。コーヒー由来トリゴネリンを白色脂肪細胞に添加すると(左画像の赤く染まった細胞)、白色脂肪細胞のサイズが小さくなった(右画像)。これはトリゴネリンが、「脂肪蓄積型の白色脂肪細胞から、脂肪燃焼型のベージュ脂肪細胞への変化を促した」と推測される。©UCC上島珈琲
コーヒーの研究を続けて50年以上。「コーヒー×健康」については、20年以上前から本格的に研究。
UCCでは50年以上前、1969年に設置した品質管理部門を起点に、長年コーヒーの研究を続けてきた。「コーヒー×健康」についての研究は、2000年以降に本格化。神戸にある研究所では、現在もさまざまな研究が行われている。
「コーヒーに含まれる成分は1,500種類以上ともいわれています。コーヒーには秘められた可能性がまだまだ眠っています」(植田さん)。「今回、健康効果を確認したトリゴネリンは新たな可能性のひとつです。引き続きトリゴネリン研究を続けるとともに、1杯のコーヒーが持つさまざまな可能性を探っていきたいと思います」(有木さん)
【問い合わせ先】
UCC上島珈琲 https://www.ucc.co.jp/customer/index.html