首、肩、背中にダメージを与える危険なNG習慣と3つの正しい動作。
イラストレーション・松栄舞子 文・田村幸子
古武術を嗜む理学療法士の岡田慎一郎さんによれば、「二足歩行になった人間は野生動物と比べて、身体の使い方が退化している」という。スマホを見るときや、重い荷物を持ち上げるときは要注意。首単独で曲げたり腕だけで持とうとすると、負担が1カ所に集中して凝り固まったり痛めたりする。
「ポイントは負担の分散。動作の原則は、肩甲骨から背中と腕を連動させて、股関節を中心に足腰を動かすことです」
股関節の位置はお尻の付け根。お尻の下のしわができるところにあり、英語では「ヒップジョイント」。肩甲骨と股関節を意識して動くと、負担が分散し、疲れにくい姿勢がキープできる。
【首に負担!】
【NG】首だけ曲げて夢中で スマホを見続けている。
首だけ曲げて、うつむいてスマホを長時間見ていると、頭の重さが首筋に集中して凝り固まるのは当然。これが「スマホ首」の原因に。
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【OK】背骨をしならせた釣り竿のように曲げ、拳に肘をのせて視線を高く。
股関節から骨盤、背骨を少しずつ曲げることで、釣り竿のように負担が分散される。スマホを持つ手の肘を反対側の拳で支えると目線が上がる。
スマートフォンに夢中になって、長時間見ていると、首が凝ってきませんか。
「首だけ曲げて見続けるからです。本来、首はS字カーブ状ですが、首だけで頭の重さを支えようとすると、ストレートネックの原因にもなります」と岡田さん。
スマホを見るときは、背骨を釣り竿のようにしならせるイメージで全体を曲げ、スマホを持つ側の脇に手を挟んだり、肘を拳で支えるのがポイント。もう片方の手を使うことで、ぐっと首がラクになる。
【肩、首 に負担!】
【NG】デスクワークでPCのキーボード上にのめり込んでしまう。
前かがみになってPCに向かい、腕だけでキーボードを打つと、首、肩、腰に負担がかかって、巻き肩や身体のゆがみにつながる。
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【OK】逆ハの字のポーズをすると体幹と腕が連動して疲れにくい。
手のひらを自分に向けて肩の高さに上げ、肘を内側に入れると、上がっていた肩が落ち、体幹と腕が連動。腕を逆ハの字に開くのがコツ。
上の姿勢のまま、手のひらを返してキーボードに向かってみて。肩への負担が分散し、作業しやすくなる。
デスクワーク中、PCで作業する時間が長引くと、肩や腰がだるくなりがち。
「長時間机に向かっていることで、肩が上がり、肩・腰への負担が集中します。そこで、肩を落とし、体幹と腕の接続を良くすると、負担もかかりにくくなります」。両手を肩の位置で手のひらを自分に向け、肘を内側に入れる。すると肩が落ち、腕と体幹が連動して負担が分散される。
【肩、背中に負担!】
【NG】重い買い物袋をギュッと握って腕力だけで持っている。
たくさん物が入ったショッピングバッグ。腕にかけるのも重いしと、持ち手をギュッと握りしめて腕力だけで持つと、肩や背中を痛める。
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【OK】手の甲を内転させて内側に向け、 肩甲骨を広げ、中指と薬指で持つ。
手の甲を内側に向けて肩甲骨を動かし、背中と腕を連動させるとラク。中指と薬指の根元で引っ掛けるように持つと握力がセーブされ、疲れも半減。
たくさん買い物をしてショッピングバッグに詰めこんだものの、重くてふらつきそう。そんなとき持ち手をギュッと握って腕の力だけで持つと、さらに重く感じてしまう。
「腕の力だけで持ち続けると、肩や背中にも負担がかかります。手の甲を内側に向けると肩甲骨が広がり背中に張りが感じられ、その状態で持つと、背筋や肩まわりの筋肉も使えるので、重さが分散できます」
『クロワッサン』1110号より