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減塩、糖質オフ、内臓を整える…夏こそスパイス&ハーブが必要な理由。

夏にたっぷり食べたくなるのが、みずみずしく香り豊かなハーブと、心地よく味覚を刺激してくれるスパイスを使った料理たち。それらを欲するのは、この時季の体が求めているからこそ。おいしい上に体も整う、スパイス&ハーブをもっと食卓に。

撮影・黒川ひろみ スタイリング・渡邊美穂 文・小沢緑子

巡りをよくし、体を内側から整える、 スパイス&ハーブが夏こそ必要な理由。

「夏にうれしいスパイスの効果は、まずは香りで『食欲アップ』が図れること。また、夏は体温調整のためにも汗をかくことは大切ですが、今は冷房の影響から体が冷えがちです。唐辛子や胡椒、ガーリックなどといった辛みや刺激のあるスパイスを食に取り入れることで『発汗』や『血行』を促し、体の内側から巡りをよくできることもメリットです」と、スパイスライフアドバイザーの大平美弥さん。

一般的に夏バテといわれる症状は消化器系機能障害にあたることが多く、食欲不振をはじめ、消化不良など胃の不快感もハーブの力を利用して和らげることができる、とは医師でハーブ療法の専門家でもある入谷栄一さん。

「ハーブの香りや味を構成する成分が嗅覚や味覚に働きかけ、消化器系機能の調整をすることが可能。たとえば、消化不良には胃に清涼感を与えるペパーミント、食あたりや吐き気には強い抗菌作用のあるタイムと一緒にハーブティーにするのもおすすめできます」

減塩、糖質オフ、リラックス効果……、 体を気遣う世代に、うれしい働き。

「40代、50代と年齢が上がるごとに体の代謝も落ちていき、食生活を気遣う人は多いと思います。特に健康のことを考えると塩分や甘いものの摂りすぎが気になる年代。スパイスを取り入れれば減塩や糖分コントロールがムリなくできます。塩分は辛みや爽快感、糖分は甘みのある香りのスパイスを使うと、ともに減らしても充分おいしく味わえます」(大平さん)

現代は病院に行くほどではないが日日不調を感じている人は多く、そのケアにもハーブは貢献、と入谷さん。

「不調の根本をたどるとストレスや過緊張による自律神経の乱れが背景にあることが多い。そもそもハーブを含めて植物はフィトケミカルという抗酸化成分を含んでいますが、香りでストレスを緩和するメンタル面への作用も重要なポイント。ハーブなど香りのある植物の芳香成分にある、体の緊張をほぐして高まった交感神経を鎮め副交感神経を優位にし、心身ともにリラックスさせる効果は見逃せません」

難しく考えないのがコツ。 暮らしの中に上手に取り入れよう。

「ハーブもスパイスも『鮮度』と保存状態がいい『質』の高いものを選んでほしいです。体にいいものも酸化や劣化していたらマイナス」(入谷さん)

さらに、日常の健康に役立てるために料理や飲み物などに取り入れるなら、ただ漠然とではなく、「目的意識」をもって摂ることも重要という。

「胃の調子を整えたい、寝付きをよくしたいなど、摂る目的がはっきりしているほうが続けようという意識が生まれ、実際に行動に移します。習慣化させることで、よりよい効果が期待できるようになります」(入谷さん)

ハーブもスパイスもそれぞれ体に与える効果は異なるが、選び方に迷ったら、「まずは『この香りに惹かれる、心地いい』と感じるものを。ハーブもスパイスも元は昔から“おばあちゃんの知恵袋”的に伝えられてきたもの。直感で選んでもそのときの体調や気分に意外としっくりきます」(大平さん)

減塩、糖質オフ、内臓を整える…夏こそスパイス&ハーブが必要な理由。
  • 入谷栄一 さん (いりたに・えいいち)

    いりたに内科クリニック 院長

    呼吸器・アレルギー内科専門医。現代医学と補完医療の融合を実践。著書『キレイをつくるハーブ習慣』で、ハーブ療法を紹介。

  • 大平美弥

    大平美弥 さん (おおひら・みや)

    スパイスライフアドバイザー

    「Miya Spice Salon」を主宰し、"スパイスのある素敵な生活"を提案。メディアへの出演ほか、メニュー開発や監修も行う。

『クロワッサン』1122号より

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