疲れ、だるさを予防する朝の過ごし方とは?
一日の体調は、起き抜けからどう過ごすかによって左右されると心得て。
撮影・柳原久子 イラストレーション・中島陽子 構成&文・中條裕子
なぜ〝朝〟の過ごし方で変わってくるのか?
昼は活動的、夜は休息モードとなる体内リズムが人間には備わっており、このリズムが崩れると、昼間に頭がぼんやりしたり夜よく眠れなかったり、さまざまな体の不調につながっていく。体内リズムの周期は24時間より少し長いため、日々ズレを修正して体内時計をリセットする行動が必要に。
「体内リズムを一定にするには、毎日ほぼ同じ時間に起きることが大事。2時間くらいまでの差は許容範囲なので、たとえば平日7時に起きている人は、休日も9時くらいまでには起きたほうがいいということになります」
と、「休養&疲労回復の専門家」として活動している福田英宏さん。週末ゆっくり朝寝をきめていると体内リズムが崩れ、立て直すには3日間ほどかかってしまうという。また、起きたあとに“どう過ごすか”も肝心。
「時間がなくて朝からバタバタしてしまうと、自律神経に影響が。副交感神経からいきなり交感神経にスイッチが替わり、どっと疲れてしまうんです。できれば30分でも余裕を持って起きると、気持ちを焦らせてリズムを崩すということもなくなります」
ゆっくり体を目覚めさせる朝の習慣とは。
朝、起き抜けの習慣にしたいのは、まずはカーテンを開けて太陽の光を浴びること、と福田さん。
「窓越しであれば1メートル以内で太陽を正面から浴びるようにしてください。5分ほどでよいので。陽を浴びるとセロトニンが分泌され、自律神経が交感神経優位に切り替わる。そしてセロトニンは夜になるとメラトニンに変わり、眠気を促します。朝の太陽光は睡眠薬1錠分と言われているくらい」
朝の太陽は明るさが10万ルクスほどで、曇りでも5000ルクスになる。室内の照明は500〜1000ルクスくらいとなれば、やはり太陽光の効果がいかに大きいかがわかる。
「私は毎朝カーテンを開けたあと、コップで口をすすぎ、白湯を飲んでいます。食べ物が受けつけやすくなるし、汗で水分を失った分を吸収して血流をよくしてくれる。朝はとにかくマイペースでスタートすること。慌ただしいと自律神経が乱れたまま一日が進んでいくことになりますから。あとはゆっくり朝食を摂る、ということが大事」
朝食の際は携帯を見ながらは厳禁。食べることに集中して、しっかり咀嚼するとセロトニンが出やすくなる。
午前中のうちに体をほぐしたり軽い運動を。
朝なかなかスッキリ起きれない……そんな人は目が覚めたらベッドの中で3分ほど両手をグーの形にぎゅっと握ったり、手をぶらぶら振ったりして血行をよくして起きるといいという。
「朝食の後はストレッチポールを背中に当てて、体をほぐすのもいいですよ。私はウェーブストレッチリングを背骨に当てています。あとは、正座してお祈りをするように両腕を前に出して背中を伸ばしたり。午前中に、しっかり腕を振りながら早歩きをするなど、軽い有酸素運動を一日30分ほどするのもおすすめ。歩くでもなく走るでもなく、真ん中くらいの速さで。ひと駅前で降りて太陽の光を浴びながら通勤するのもひとつの手です」
朝はいきなり交感神経を上げず、体をほぐすなど自律神経を疲れさせないようにまずはウォーミングアップを。
肩回りのコリに効果の高い猫伸びポーズ。
両手両膝を床につき、手は肩幅、足を腰幅に開き、息を吐きながら両腕を大きく前に伸ばす。顎や胸を床につけるようにお尻を上げ、猫が気持ちよく伸びをするように、体をぐーっと前に倒すのがコツ。
専用のギアを使ってより簡単に背中をほぐす。
Wアーチの形状で体にフィットして、ストレッチをサポートするウェーブストレッチリング。凸面を上に寝転んで左右に体を揺らすと、背中を効果的にほぐすことができる。首・肩・腰など全身のエクササイズにも使える。
『クロワッサン』1099号より