そもそも腰痛とは、腰の周辺が痛む症状の総称で、一般的に「腰痛症」と呼び、その原因は人によって異なります。
脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)、骨粗しょう症、椎間板ヘルニアといった病気や、骨折、ねんざ、打撲、脱臼といった外傷など、痛みを引き起こす原因がはっきりしている腰痛を「特異的腰痛」と呼びます。
一方、骨・椎間板・神経に異常がないのに、痛みを感じる腰痛の多くは、腰回りの筋肉の疲労に由来することが大半です。中には、姿勢や動作、時間帯や季節によって痛みが出たりなくなったりするものの、病院で検査をしても原因を特定しづらいケースもあります。具体的には、重いものを持った時に起きることが多いぎっくり腰などがそうです。こうした腰痛をまとめて「非特異的腰痛」と呼んでいます。
実は、腰痛全体の約8割がこの非特異的腰痛にあたり、原因は特定できないものの、いくつかの要因が重なって腰痛が引き起こされると考えられています。
主な要因は悪い姿勢、運動不足、肥満、加齢に伴う筋肉量の低下や骨の変化などで腰への負担が増加・蓄積することです。
このため、ほとんどの非特異的腰痛は病院での治療が必要ありません。腰に負担がかかる生活習慣の見直しや、衰えた筋肉を鍛え直すといったセルフケアで症状が改善します。
また最近注目されているのが心理・社会的要因です。疲労やストレスが蓄積することで自律神経が乱れ、筋肉が緊張したり、血行が悪くなったりして腰痛を引き起こすのです。
新型コロナウイルスの大流行したせいで、2020年6月以降、長期間のステイホームによる運動不足や、それに伴うコロナ太りを訴える人が増加しています。
また、感染の恐怖や人と会えない孤独、そしてコロナ不況による将来への不安から、強いストレスを感じている人も少なくありません。
つまり、今は腰痛のリスクがとても高く、回避のためのセルフケアが大切になっているのです。