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改めて知っておきたい野菜の栄養分。体調を整えるビタミン、ミネラル、食物繊維の働きとは?

食事から得られるのは、エネルギーや組織になる、炭水化物、たんぱく質、脂質の3大栄養素が基本となります。
野菜は3大栄養素を効率よく使っていくための調整役。野菜の栄養分について整理して覚えることで、さらなる健康が実現します。

文◦韮澤恵理

●バランスのいい食事

野菜は人がエネルギーを使って活動するのをサポートする食材。でも他の栄養を摂らずに野菜だけ食べても、健康になれるわけではありません。まずは、バランスのいい食事を心がけましょう。

●ビタミンとは?

ビタミンは、主要な栄養素が体の中で有効に活用されるための手助けをし、健康を維持するためのサポート役を果たします。基本的にはほとんど体内では作れないので、食事から摂ることが重要です。

●ミネラルとは?

体が正常で円滑な反応をして健康を維持するために必要な鉱物です。体内では作れず、食材からしっかり摂取しないと、生体反応が乱れてしまいます。

●食物繊維とは?

体が正常で円滑な反応をして健康を維持するために必要な鉱物です。体内では作れず、食材からしっかり摂取しないと、生体反応が乱れてしまいます。

●栄養の仕組み

炭水化物や脂質がエネルギー源となって体を動かし、たんぱく質が筋肉や骨、血液などの組織を作るのですが、それを助けるのがビタミンやミネラル。さらに酵素や酸なども必要です。不足がちな野菜をしっかり摂ることはもちろん、必要な栄養素をきちんと摂ることが重要です。

栄養素のこと

メインとなる3大栄養素の他に、ビタミン、ミネラルを加えて5大栄養素、さらに第六の栄養素と言われる食物繊維がある。野菜に期待するのは主に中段の3つ。

●炭水化物

糖質と食物繊維を合わせて炭水化物という。糖質は消化されると糖になり、吸収されて血糖として全身運ばれるエネルギー源。

●たんぱく質

主に筋肉や血管などの組織になる原料。消化されるとアミノ酸に分解され、各部に運ばれ、筋肉や血液、細胞などに再合成される。

●脂質

脂分でエネルギー源となる。常温で固形の飽和脂肪酸と、常温では液体の不飽和脂肪酸があり、さらに細かく分類される。細胞膜を構成する成分。

●ビタミン

主に体の調子を整えたり、代謝を助ける。体内で作れるものと、食事から摂取しなければ不足するものがある。

●ビタミン(脂溶性)

油脂となじみがよく、溶け出すことあで吸収が良くなるビタミン。

●ビタミン(水溶性)

水となじみがよく、水に溶け出して失われやすいビタミン。

●ミネラル

体内で代謝や生命活動に必要な鉱物の仲間。しっかり必要な多量ミネラルと、量はわずかでいいが、体に重要な微量ミネラルがある。

●食物繊維

代謝や活動には直接関係ないが、不足すると体調に影響のある栄養素。

–水溶性食物繊維

水となじみがよく、サラサラの液状やネバネバ状で、繊維を感じることはない。粘膜を守ったり、腸内環境を整える。

–不溶性食物繊維

モソっとした文字通りの繊維。膨張して満腹感を出したり、腸内を刺激して進むので、不要な物の排出や蠕動運動の促進に。

ひと目でわかる! 主なビタミン、ミネラル、食物繊維

よく耳にするビタミンやミネラル。その働きと特徴を紹介します。

【脂溶性ビタミン】

●ビタミンA(レチノール)

粘膜を健康にする働きがあり、ウイルスの侵入を防いだり、免疫力アップやがん予防の効果も。目のビタミンとも言われ、網膜を正常に機能させる働きも。野菜に含まれるカロテノイドはビタミンAに変換される成分で、プロビタミンAとも呼ばれる。緑黄色野菜に多い。

●ビタミンD(カルフェノール)

骨を作るカルシウムのサポートをするビタミンで、野菜ではきのこ類に多く含まれる。日光に当たると体内でも合成できるが、食品からも摂りたい成分。

●ビタミンE(トコフェロール)

若返りビタミンとも呼ばれ、活性酸素から体を守り、老化のスピードを遅くし、若さや健康を保つ働きがある。血流をよくする効果も高いので、冷え性や肌荒れなどを改善する効果も。緑黄色野菜のほか、ごまやナッツ、植物油などにも豊富。

●ビタミンK(フィロキノン、メナキノン)

血液の凝固に関わるビタミンで、不足すると出血が止まりにくくなる。腸内細菌が作ってくれるビタミンなので不足の心配は少ないけれど、モロヘイヤなどの野菜のほか、大量に含む納豆から摂るといい。

【水溶性ビタミン】

●ビタミンB群

ビタミンB1、B2、B6、B12、ナイアシン、パントテン酸、ビオチン、葉酸を合わせてビタミンB群と呼ぶ。それぞれに役割があるが、主に代謝に関わり、脳の働きを助けたり、美肌を維持するなど、体のバランスを保つ。不足すると肌荒れや物忘れ、肥満などを招く。魚介類や肉などに含まれ、葉酸はブロッコリーや菜の花からも摂れる。

●ビタミンC(アスコルビン酸)

活性酸素による細胞のダメージを防いだり、コラーゲンの生成を助けることから美容に効くビタミンとして知られる。免疫力を高める効果も高く、風邪にビタミンCと言われるゆえん。毛細血管を丈夫にしたり、ストレス対策にも効果がある。

【多量ミネラル】

●カルシウム

骨や歯を作るだけでなく、筋肉の弛緩と収縮を正常にする働きから、心拍や血圧をコントロールする効果も。不足すると血液中のカルシウム量を維持するために、骨や歯から溶け出してもろくなってしまうことも。乳製品や小魚、甲殻類などに多い。

●マグネシウム

骨の構成成分であり、筋肉などの細胞の中で酵素の働きをしている。不足すると疲れやすくなるだけでなく、内臓がきちんと働かなくなったり、組織にトラブルを起こしたりする。カルシウムとの摂取量のバランスも大切。緑黄色野菜や大豆、玄米や雑穀に多い。

●カリウム

体内のナトリウムを排出する働きがあり、ナトリウムが多いことによる血液量の増加や、それによって起こる血圧の上昇を抑える効果がある。同様にリンパ液などの体液の増え過ぎも解消するので、むくみにも効果的。

●ナトリウム

いわゆる塩分で、摂り過ぎによる高血圧やそれに伴う動脈疾患、脳卒中などを招く。体を酸性に傾けてしまう面も。こうしたことから健康によくないと悪者扱いされているけれど、生命の維持には絶対に必要な重要な成分で、不足して起こる熱中症などは命に関わる。バランスが大切。

【微量ミネラル】

●鉄

血液中の赤血球を構成する成分で、不足すると貧血になる。赤血球が足りないと、酸素を運ぶことができなくなり、細胞がきちんと働かず、めまいがしたり、疲れやすくなり、免疫力も低下する。野菜から摂れる非ヘム鉄は、動物性のヘム鉄より吸収率が低い。

●亜鉛

古い細胞を新しい細胞に作り替える新陳代謝に必須で、美肌や丈夫な筋肉に必須なだけでなく、血液を元気にして免疫力を上げる働きも。舌で味を感じる味蕾の細胞に大きく関わり、不足すると味覚障害を起こすことで有名。カキのほか、貝類に多い。

●ヨウ素

甲状腺ホルモンの材料で、ヨードとも呼ばれる。細胞の代謝を促し、美しい黒髪の元とも言われる。主に海藻類に含まれる。食材からの摂取が過剰症につながるとは限らないが、甲状腺のトラブルがある人は注意が必要。

●その他

ほかにも、リン、硫黄、銅、セレン、マンガン、モリブデン、コバルト、クロム、セレン、銅などは食事から摂る微量ミネラルで、どれが不足しても健康のバランスは崩れるが、野菜から摂れるものは少ない。

【水溶性食物繊維】

サラサラの液状か、ねばねばのゼリー状があり、腸内をゆっくり移動して満腹感を持続させたり、コレステロールなどをからめて排出する。腸内の善玉菌のエサになり、腸内環境を良好にする働きも。主な水溶性食物繊維は、果物などに多く含まれるペクチン、ごぼうのほか、チコリや玉ねぎ、にらにも含まれるイヌリン、やまいもやオクラ、なめこのヌルヌル成分、きのこや大麦にたっぷりのβ-グルカンなどがある。水に溶けるので、繊維感はない。

【不溶性食物繊維】

ボソボソとした繊維質の成分。噛みごたえがあるので満足感を得やすいだけでなく、咀嚼によるあごの健康維持や、脳の活性化の効果がある。水分を吸収してふくらみ、腸壁を掃除するように移動するので、蠕動運動を促し、便秘の解消や大腸がんの予防効果も。植物の細胞壁を作るセルロースやヘミセルロース、リグニンは多くの野菜に含まれ、特に繊維質を感じる根菜類や葉野菜に多い。かにやえびの殻に存在するキチン・キトサンも不溶性食物繊維の仲間。

改めて知っておきたい野菜の栄養分。体調を整えるビタミン、ミネラル、食物繊維の働きとは?

『Dr.クロワッサン 体に効かせる野菜の食べ方』(2020年9月28日発行)より。

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