ネバネバ成分が腸を元気にするオクラ。体に効かせる食べ方と選び方。
野菜指導/名取貴光 料理・栄養指導/岩﨑啓子 撮影/黒川ひとみ 文/韮澤恵理
(実を食べる)オクラ[ アオイ科 トロロアオイ属 ]
【水溶性食物繊維】が【腸】を元気にし、【免疫力】も上がる。
【栄養豊富な旬の時期】7〜9月
夏、開花するとすぐに実がなる。収穫が遅れると硬くなる。冬は東南アジアからの輸入も。
【体に効く選び方】表面の毛が多くはりがある
緑色が濃過ぎずに鮮やかで、産毛が密生しているものが鮮度がいい。一般的な五角形のものは、角張り過ぎ、乾いた感じがするものは熟し過ぎているので硬い。
【体に効く食べ方】ゆでても生で食べてもいい
口当たりをよくするためには、塩でこすって水洗いするといい。熱による損失は少ないので、まるごとさっとゆでて刻んで食べると食べやすい。生でも食べられる。
【栄養を守る保存方法】へたを下にして立てる
がくが下、先が上を向いて実るので、その状態で立てて保存する。濡らしたキッチンペーパーで包んで野菜室へ。刻んで冷凍も可。
【重さの目安 1本約10g】
[注目成分]
ムチン
ペクチン
β-カロテン
カリウム
カルシウム
マグネシウム
[エネルギー]
30kcal/100g
[食物繊維]
5.0g/100g
(Topics 1)オクラ料理は中南米にもたくさんある
和食の印象が強いオクラは、実はアフリカ原産。中南米やカリブ海周辺でも、ネバネバ成分を余さず食べられる煮込みやシチューとして利用されていて、日本ではガンボスープが有名。世界中で健康野菜として愛されている。
(Topics 2)変わりオクラにも栄養は十分に!
皮が赤い紅オクラや、断面が星形ではなく凸凹がない丸オクラ、長いジャンボオクラ、一回り小さいミニオクラなど多くの品種があり、スーパーで見かけることも。いずれも水溶性食物繊維を豊富に含み、食感などに特徴があるので、試してみても。
腸も血管も元気になる体を守るネバネバ成分。
オクラといえばネバネバの食感が特徴ですが、これはペクチンなどの水溶性の食物繊維によるもので、消化を助けたり腸で善玉菌のエサになります。血糖値やコレステロール値の上昇を抑えたり腸の働きを整える効果もあります。
腸には免疫細胞をコントロールする働きもあり、腸の調子がアップすると、ウイルスや菌に対する抵抗力が増します。病気予防から若返りまで、さまざまな健康効果が期待できます。
さらにオクラには活性酸素から体を守るβ-カロテンや、骨や血管を守るカルシウム、マグネシウム、血圧を下げるカリウムも多いため、生活習慣病が気になる世代におすすめです。
オクラは生でも食べられます。ゆでる場合もさっと短時間にとどめます。刻んで醤油などで食べるのが知られていますが、炒めたり、煮込みなどにしてもおいしくたっぷり量が食べられます。
塩でこすって口当たりをよくするのが、ポイントです。
ネバネバ成分をムダなく食べられる調理法で。
オクラに期待するのはなんといっても、水溶性食物繊維であるネバネバ成分による整腸効果。できるだけ損失を少なくするには、下ゆでせずに炒めたり、汁物にして余さずに食べるのがいい方法。淡泊なので、肉や魚介類で食べごたえアップするのも一法です。
オクラとたこのアンチョビ炒め
【材料(2人分)】
オクラ …… 15本(150g)
ゆでだこ(足)…… 100g
にんにく …… 1/2片
アンチョビフィレ …… 2枚
オリーブ油 …… 大さじ1
塩、胡椒 …… 各少々
【作り方】
1.オクラはがくを削り、塩少々を振って表面を軽くこする。さっと洗って水気をふき、縦半分に切る。
2.たこは一口大の乱切りにし、にんにくは粗みじんに切る。アンチョビは粗く刻む。
3.フライパンにオリーブ油、にんにく、アンチョビを入れて中火にかけ、香りが立ったらオクラ、たこを入れてさっと炒め、塩、胡椒で味をととのえる。
オクラのとろろ汁
\食物繊維が溶け出した汁のとろみが美味。/
【材料(2人分)】
オクラ …… 10本(100g)
だし …… 1と1/2カップ
酒 …… 小さじ1
塩 …… 小さじ1/4
醤油 …… 小さじ1/2
【作り方】
1.オクラはがくをむき、塩少々(分量外)を振って表面を軽くこすり、さっと洗って水気をふく。飾り用に薄切り6枚をとっておき、残りは細かく刻んで粘りが出るまでたたく。
2.鍋にだし、酒を入れて煮立て、塩、醤油で調味し、オクラを入れてさっと煮立て、器に盛って飾りのオクラをのせる。
『Dr.クロワッサン 体に効かせる野菜の食べ方』(2020年9月28日発行)より。