からだ

マスク、スマホの見過ぎ、メンタルダウン…肌の緊急事態を乗り切るための処方箋。

  • 撮影・青木和義 スタイリング・白男川清美  ヘア&メイク・浜田あゆみ(メランジ) モデル・西秋愛菜  イラストレーション・谷本ヨーコ 文・小沢緑子

【正しく対処するためにも、今あるリスクを把握しよう。】

(リスク1)一日中マスク生活。

マスクを長時間つけることで生じやすい肌トラブルは「蒸れ」と「擦れ」が二大原因と慶田さん。

「特に冬の間は湿度の低下や暖房による室内外の寒暖差も加わり、肌の乾燥が加速しがちです。肌は乾燥するとバリア機能が低下して少しの刺激でも炎症を起こしやすくなるため、マスク内で肌が蒸れたり擦れると赤みやかゆみ、湿疹なども生じやすくなるのです」

これから春にかけて、スギやヒノキの花粉の季節が到来するが、

「四六時中マスクをしている分、アレルギー性鼻炎は軽く済むかもしれませんが、マスクによるダメージで肌のバリア機能が弱まっている今は、外からの刺激を跳ね返すことができません。少量の花粉にも反応して、肌荒れや湿疹が広範囲に生じる可能性も」

外出先でもできる対処法が、濡らしたハンカチなどで蒸れによる汗を優しく拭き取ること。汗はマスク荒れの原因のひとつといわれているので、押さえるように拭き取ったら、乾燥しないよう保湿乳液やクリームの重ねづけを。

「毎年花粉症の症状がひどい人は、室内でも窓は開けず空気清浄機を回す。帰宅したら玄関先で服をブラシで払い、リビングや寝室に花粉などを絶対に持ち込まないことです」(慶田さん)

(リスク2)外出控え。

「顔の筋肉は激しく動かしすぎると表情ジワを深くする一因になりますが、動かさないのも重力に負ける一方。外出控えで人と会って話したり笑ったり、表情筋を動かす機会が減ると筋肉が硬く縮こまって鈍麻します。意識して滑舌よく喋り、口角を引き上げて美しい笑顔を作るように動かしましょう」(慶田さん)

また、在宅時間の増加による、スキンケアの手抜き問題。

「紫外線はガラス窓はもちろんカーテンも透過するので、家の中でも最低限日焼け止めを塗ることまでがスキンケアと考えて。BBやCCクリームも紫外線や大気汚染などの外的刺激から肌をガードする効果が高いものがあるので、ファンデーションの代わりに使って肌の上に一枚膜を張って防御するのがおすすめです」(弓気田さん)

(リスク3)パソコン・スマホ時間の急増。

「目を酷使することで起こる筋肉疲労も、目元のハリを失わせる原因になります。パソコンやスマホを長時間使うときは合間に目を休める習慣を」(慶田さん)

マスクをつけた顔が常態化し、アイメイクに力が入るが……。

「そのメイクの落とし方が不充分だったり、ゴシゴシ擦るような間違った方法を続けていると、色素沈着を起こして目元がくすんで見えることも。落ちにくいアイテムを使うなら面倒でも専用のリムーバーを用意して。酷使されて衰えの表れやすい目元をいたわる、エイジングケア効果の高いアイケアも充実しています」(弓気田さん)

姿勢の悪さも見過ごせない。

「パソコンやスマホの長時間利用で、下向きの姿勢がクセになると重力で顔の皮膚が下がり、たるみや二重顎が進みます。顔を上げて目線の高さで見るよう心掛けてください」(慶田さん)

(リスク4)生活習慣の乱れ。

「いくらスキンケアをしっかり行っても、生活習慣が乱れると肌トラブルが生じやすく、しかも治りにくくなります」(慶田さん)

中でも食事は重要。

「弾力のある肌を守るためにはたくさんの栄養素が必要。特に肌の構成要素を再生させるために積極的に摂りたいのがタンパク質、ミネラル、ビタミン。脂質を避ける人もいますが、セラミドなど肌のバリア成分を作る細胞間脂質の原料となるので、肉や乳製品、油などもバランスよく摂って」

コロナ禍の運動不足も大敵。

「日常の活動量が減ると筋肉量が落ちて代謝も体の循環も低下するため、適度に体を動かして汗をかくことが大切。ちなみに女性も筋トレをすると代謝が上がり冷え知らずの太りにくい体質になりますし、成長ホルモンの分泌効率がよくなるので皮膚などの再生力も高まります」(慶田さん)

(リスク5)メンタルダウン。

「強いストレスがかかると血液の巡りが悪くなり便秘や睡眠不足をはじめ体にさまざまな変化が。すると肌のバリア機能も低下します。さらにコロナ禍で不安感が強くなっている人も。マスクをつけっぱなしだと息苦しいだけではなく呼吸が浅くなりがち。周りに人がいないときは一度外して深呼吸をして肺の奥まで空気を入れ、幸せだなとつぶやくとストレスコントロールにもなります」(慶田さん)

肌と心はつながっているので、気持ちが落ちているときは美容もムリして頑張らなくてもいい、と弓気田さん。

「神社などのパワースポットに立ち寄るのもよし、マンガを一気読みするもよし。今まで気になっていたりやりたかったことをしてリセットを。私はステイホーム中に落語にはまり新しい趣味ができました。気持ちの自己防衛ができる時間を作ることも大事です」

慶田朋子

慶田朋子 さん (けいだ・ともこ)

銀座ケイスキンクリニック 院長

皮膚科専門医、医学博士。丁寧なカウンセリングとオーダーメイドの最新治療プログラムが人気。著書に『女医が教える、やってはいけない美容法33』(小学館)など。

弓気田みずほ

弓気田みずほ さん (ゆげた・みずほ)

美容コーディネーター

多くの女性誌で幅広い知識を活かした実践的な美容アドバイスを行い、正しい化粧品選びの指南役として活躍。メーカーの商品開発などのコンサルティングも。

『クロワッサン』1064号より

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