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巡りの大事なポイントである、足。健康寿命を延ばすケアとは? 専門医に聞いた。

  • 撮影・青木和義 モデル・Asami スタイリング・仮屋薗寛子 ヘア&メイク・浜田あゆみ(メランジ) 文・長谷川未緒

【歩く力を落とさない、セルフケア。これで健康寿命を延ばそう。】

アキレス腱伸ばし

ふくらはぎの筋肉とかかとの骨をつなぐアキレス腱。ここが硬いと、歩行時にすねを前に倒せず、足に余計な負担がかかってトラブルを招く。また、脚のポンプ作用が落ち、巡りが悪くなって冷えやむくみの原因に。毎日のケアで、アキレス腱をやわらかく保とう。

(1)壁の前に立ち、両手を壁に当てる。片方の足を1歩後ろに下げる。両足のつま先はまっすぐ前に向けて、かかとを浮かさない。

(2)壁に体重をかけながら、前の脚の膝をゆっくりと曲げる。反動はつけない。アキレス腱の伸びを感じながら、30〜60秒キープ。足を入れ替え同様に、各5回。

足指グーチョキパー

足の裏は土踏まずを見てもわかるように、平らではなくアーチ形の立体構造をしている。アーチを支える筋肉が衰えると、外反母趾などを引き起こす。足指グーチョキパーは、足の動きやアーチの調整を司る「内在筋」を手軽に鍛え、足指のストレッチにもなる。

足の指をすべて内側に折りこむ。付け根の骨が盛り上がるくらいまで丸める。ふだん足指をあまり使っていない場合は、足の指の間に手の指を入れて広げたり、1本ずつ回したり、ストレッチしてから行うとよい。

グーの状態から、親指だけ立てる。親指を下げ、ほかの4本の指を立てるバージョンのチョキも行うとよい。チョキが難しい場合は、先に足の指の間を広げるパーの形をしてから行うと、やりやすくなる。

できるだけ足の指の間を大きく広げる。左右いっぺんに行っても、片方ずつ行ってもよい。グーチョキパーを10回くり返す。冷えが気になる日などは特にしっかりと行うと、血流がよくなる。

タオルギャザー

内在筋をほぐしたり、刺激したりするケアをもうひとつ。タオルを足指で引き寄せるタオルギャザーは、変形が軽度で痛みもない外反母趾ならば、進行を防ぐこともできる。最初は筋肉痛になるかもしれないが、鍛えられている証拠。無理のない範囲で続けてみよう。

(1)椅子の前にタオルを置き、浅く腰掛ける。ふだん足指をあまり使っていない場合は、手を使ってすべての足の指の間を広げ、次に足の指の力だけで広げる準備運動をする。

(2)床に置いたタオルに片方の足を乗せる。このとき足の親指の付け根部分から先だけをタオルに乗せるようにすると、かかとが滑り止めになり、次からの動作がやりやすくなる。

足の指の付け根から曲げる

(3)5本の足指を使って、タオルをたぐり寄せる。「足指グーチョキパー」のグーのときのように、指の付け根部分をしっかりと曲げてタオルをつかむようにすること。

(4)しっかりとつかめたことを確認したら、足の指をぱっと開いてタオルを離す。かかとが浮かないようにする。もう片方も同様に、5〜10回を目安に行う。

密封ケア

女性ホルモンの減少にともない、皮膚が乾燥しやすくなると、カサカサして痒くなったり、角質がひび割れ、細菌に感染しやすくなったりする恐れも。日々のケアでしっかりと保湿しよう。数日行っても乾燥が治らない場合、水虫の可能性があるので皮膚科の受診を。

足を清潔にして、尿素やサリチル酸など角質を柔らかくする成分を含んだクリームを塗る。ラップで覆うと成分が角質に浸透しやすい。30分程度でラップを剥がす。

下肢静脈瘤対策

座りっぱなし、立ちっぱなし、運動不足などで脚の血液が心臓に押し上げられないと、だんだん血液が血管にたまり「下肢静脈瘤」予備軍に。防ぐには、適度な運動をしてふくらはぎの筋力を高めるほか、脚を上げ、血管に血液がたまらないようにしよう。

壁に足をあずけ、休む。膝から下を上げればいいので、就寝時、布団の下に座布団などを1枚入れてもいい。ふくらはぎを上方向にマッサージするのも効果あり。

久道勝也

久道勝也 さん (ひさみち・かつや)

下北沢病院理事長

米国のポダイアトリー(足病医学)に注目し、「下北沢病院」を設立。著書に『新しい「足」のトリセツ』がある。

『クロワッサン』1059号より

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