からだ

動きながら行うムーブメント瞑想で、疲れにくい脳の使い方を身につける。

思考はとかく過去や未来に飛びがちです。心ここにあらずの状態を止めて、今ここに集中する練習を続け、疲れにくい脳の使い方を身につけましょう。精神科医で脳科学者の久賀谷亮さんに取材しました。
  • 撮影・岩本慶三 モデル・くらさわかずえ スタイリング・高島聖子 ヘアメイク・村田真弓 文・吉田真緒

【こんな人に】
▢ 集中力がない。
▢ 気が散りやすい。
▢ イライラしやすい。
▢ 疲れやすく元気がない。

【効果を上げるには】
▢ マインドフルネス呼吸法の後に行う。(⇒参考記事)
▢ 一人だとできない場合は、誰かと一緒に行う。
▢ 毎回同じ動きで行う。

立った姿勢のムーブメント瞑想

1.両手を横から上げる。

足は肩幅に開いて立ち、両腕を横からゆっくり上げていく。腕の筋肉の動きや、血液が指先から下がっていく感覚など、体に注意を向けながら行う。

2.両手を上まで上げて下げる。

真上まで上げたらゆっくりと下げる。これを数分間繰り返す。体の動きに注意を向けているうちに、いつの間にか頭が空っぽになっている。

座った姿勢のムーブメント瞑想

1.肩を後ろから前へ回す。

基本のマインドフルネス(⇒参考記事)と同様に椅子に座り、全身の感覚に意識を向けながら、肩を後ろから前へゆっくりと回す。肩の関節や肩甲骨の動きなどを観察する。

 ↓

2.肩を前から後ろへ回す。

次は前から後ろへ肩を回す。背中や腕など、肩以外の場所も連動して動くことを感じてみる。これを数分間繰り返す。回す方向や、回数によっても感じ方が変わるはず。

(ポイント)目は開けていても閉じていてもいい。

【雑念が浮かんでも気にしない。】
次から次へと雑念が浮かんでしまい、うまく瞑想できなくても気にせずに集中を続けましょう。気にすると雑念の存在に気が取られ、かえって瞑想に集中できなくなってしまいます。雑念が浮かんでも、気が散っても、そのたびに、意識を呼吸に戻せばいいのです。

体の感覚だけを追い、心を“今ここ”に引き寄せる。

マインドフルネスは、動きながらでも行えます。

動いている感覚に意識を集中することで、思考がさまようのを止め、脳の疲労を防ぎます。

ここで紹介している方法はエクササイズではないので、動き方自体は重要ではありません。無理のない自然な動きで行いましょう。ちなみにマインドフルネス研究者のなかには、ラジオ体操でムービング瞑想をする人もいます。

脳は習慣を好むので、いつも同じ動きでムービング瞑想をするのも方法です。

体の感覚が研ぎ澄まされて、筋肉や骨の動き、血液の移動、皮膚に触れている空気すらも感じるくらいに意識を集中させましょう。その間、心は“今ここ”にあります。

しかし、いざ瞑想を始めると、気づいたら何か別のことを考えてしまっていることもあります。

自分で自分の意識をコントロールできないことがいやになったり腹が立ったりするかもしれませんが、これは脳の習性なので、仕方のないことです。

むしろ、無駄な思考に気づけたことは一歩前進している証です。再び“今ここ”に意識を戻しましょう。これを繰り返しているうちに、何かを考えてしまう自分を、客観的に見ることができるようになります。

そして、何も考えない瞑想状態を長く保てるようになります。

久賀谷 亮

監修

久賀谷 亮 さん (くがや・あきら)

精神科医、脳科学者

医師、医学博士。日・米の医師免許を持つ。イェール大学医学部精神神経科卒業。日本で臨床および精神薬理の研究に取り組んだあと、イェール大学で先端脳科学研究に携わり、臨床医として精神医療の現場に8年間従事。2010年、米国ロサンゼルスにて「TransHope Medical」を開業。「Lustman Award」(イェール大学精神医学関連の学術賞)、「NARSAD Young Investigator Grant」(神経生物学の優秀若手研究者向け賞)を2年連続で受賞。趣味はトライアスロン、トレイルランニング。『世界のエリートがやっている 最高の休息法』、『脳疲労が消える最高の休息法 CDブック』(共にダイヤモンド社)など著書多数。

『Dr.クロワッサン 免疫力を強くする、疲れない体のつくり方。』(2020年6月26日発行)より。

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