からだ

疲れた脳に最高の休息を、 マインドフルネス入門。

脳の疲れをとり、脳に休息をとらせる一番の方法が、呼吸を意識し、脳のアイドリングを自然に止めることができるマインドフルネスです。考えない練習をしましょう。精神科医で脳科学者の久賀谷亮さんに取材しました。
  • 撮影・岩本慶三 モデル・くらさわかずえ スタイリング・高島聖子 ヘアメイク・村田真弓 文・吉田真緒

基本のマインドフルネス呼吸法

【こんな人に】
▢ ストレスがたまっている。
▢ つい感情的になってしまう。
▢ 休んでも疲れがとれない。
▢ やる気が出ない。
▢ いつも何かを考えている。

【効果を上げるには】
▢ 1日5〜10分行う。
▢ 毎日続ける。
▢ 時間と場所を決めて “習慣化”する。

1.全身の感覚に意識を向ける。

椅子に座って背筋をのばし、お腹に力は入れない。手は自然に太ももの上へ。目は閉じても開いてもいい。開ける場合は2mほど遠くを見る。何も考えず体の感覚に集中。

触れているところを意識して重力を感じる。

(座り方)

(1)お尻や太ももが椅子に触れている感覚は?

(2)指と太もものやわらかさの違いはわかる?

(3)足の裏に重力を感じる?

体の感覚に意識を向けるときに手がかりになるのが、体とパーツが触れ合っている接地面。重力や温度、感触を感じ取りましょう。

【NG】

背もたれに寄りかからない。

2.呼吸に注意を向ける。

鼻の下を空気が通る感覚、胸やお腹がふくらむ感覚、空気を目いっぱい吸い込み、完全に吐き切るタイミング、吸う息と吐く息の温度の差など、呼吸をじっくり観察する。

 ↓

3.呼吸に番号をふってみる。

1、2、3と番号をふるように呼吸を数え、10まで数えたら1に戻る。ラベルを貼るように意識を呼吸に向ける「ラベリング」という方法。

(ポイント)深呼吸ではなく自然な呼吸で行う。

大切なのは姿勢より意識。考えないでいる練習を。

マインドフルネスの姿勢に厳密な決まりはありません。背筋をのばして、その他の部分の力を抜き、足は閉じていても開いていてもかまいません。重要なのは意識のコントロール。姿勢ばかり気にしていると、集中が妨げられるので、おおらかに考えましょう。

瞑想(めいそう)をするといっても、慣れないうちはむずかしいものです。今日あったこと、明日の予定、夕飯の献立、家族のことなど、さまざまなことが頭に浮かぶでしょう。後悔や悩み事などネガティブなことばかり浮かぶ人もいるかもしれません。

それは、まだ心がさまよっている状態。脳がアイドリングを続けている、DMN(デフォルト・モード・ネットワーク)と呼ばれる回路が活発になっているからです。マインドフルネスでは、こうした雑念を意識的に止めます。そのために、“今ここ”にある体の感覚や呼吸に集中します。

できれば毎日同じ時間に同じ場所で行いましょう。そうすることで集中しやすくなります。仕事モード、リラックスモードなど、一日のなかのいろいろなモードのひとつとして、短時間でもマインドフルネスモードを設定し、習慣にするのがおすすめです。個人差はありますが、早ければ1週間くらいで何らかの変化があらわれるはずです。

久賀谷 亮

監修

久賀谷 亮 さん (くがや・あきら)

精神科医、脳科学者

医師、医学博士。日・米の医師免許を持つ。イェール大学医学部精神神経科卒業。日本で臨床および精神薬理の研究に取り組んだあと、イェール大学で先端脳科学研究に携わり、臨床医として精神医療の現場に8年間従事。2010年、米国ロサンゼルスにて「TransHope Medical」を開業。「Lustman Award」(イェール大学精神医学関連の学術賞)、「NARSAD Young Investigator Grant」(神経生物学の優秀若手研究者向け賞)を2年連続で受賞。趣味はトライアスロン、トレイルランニング。『世界のエリートがやっている 最高の休息法』、『脳疲労が消える最高の休息法 CDブック』(共にダイヤモンド社)など著書多数。

『Dr.クロワッサン 免疫力を強くする、疲れない体のつくり方。』(2020年6月26日発行)より。

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