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あなたの脳は疲れていませんか?チェックリストで確認。

心の疲れ、体の疲れ、実はすべて脳が感じています。脳を休めれば疲れもストレスも消え去りますが、脳を休ませるにはコツが必要です。私たちの脳の働きを精神科医で脳科学者の久賀谷亮さんに取材しました。

文・韮澤恵理 イラストレーション・松元まり子

あなたの脳は疲れていませんか?

▢ しっかり寝たのに朝起きても疲れている。
  十分眠ったのにもかかわらず、目が覚めたときに重だるい。

▢ 理由もないのに疲れたと感じる。
  激しい運動や重労働をしたわけではないのに疲れたと感じる。

▢ 物事に集中できない。
  仕事や家事に集中できず、 効率が悪くなっている。

▢ 頭が麻痺したように感じる。
  ぼーっとして頭が麻痺したような状態。

▢ ネガティブな気持ちになる。
  くよくよしたり、心配になったりする。

▢ 寝付きが悪い、夜中に目が覚める。
  疲れているのに眠れない、 短時間で目が覚める。

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上のどれかに当てはまるなら、脳が疲れているのかもしれません。

体の休息と脳の休息は違うことを知ろう。

現代では疲れていると感じている人がとても多く、しかも、体の疲れよりも脳の疲れが深刻です。

体の疲れは働きすぎや内臓の不調、筋肉の使いすぎなどで起こり、理由がはっきりとしていれば、そこを休めれば回復します。

立ち仕事で筋肉が疲れても、1日休めば回復しますし、食べすぎて胃腸が疲れたら、食事を控えればよくなります。休ませれば休まるというシンプルな関係です。

ところが脳は休めているつもりでも、休息にはなっていないことが多いのです。ぼんやりしたり、仕事を休んだりして、何もしていないから、脳も休んでいるだろうと思っても、勝手に考え事の種を探して働き続けてしまいます。

無意識に働き続ける脳のアイドリング状態とは?

脳はそもそも考えることが好きなので、ネタさえあればぐるぐるといくらでも考え続けます。家でくつろいでいるのに、知らずしらずに、今日あったことや明日の予定を考えたり、過去のことが頭の中を回っていることはありませんか?

このような、理解や判断といったあきらかな活動モードでなくても、常に何かを考え続ける脳の習性を脳科学の世界ではDMN(デフォルト・モード・ネットワーク)といいます。脳のアイドリングと表現されることも多いのですが、完全にエンジンを切ることができていない状態です。

車はアイドリング中でもガソリンを消費しますが、脳のアイドリングも同じようにエネルギーを消費します。だからどんどん脳が疲れていくのです。

何もしていなくても、脳は勝手に働いてどんどん疲れていく。

使っているつもりがなくても、仕事を探して働きたがるのが脳の性質。
休めているはずが、水面下でくるくるエンジンを回すやっかいな存在でもあります。

あなたの脳は疲れていませんか?チェックリストで確認。

●無意識のときも、脳は働いている?
仕事をしたり、本を読んだり、あきらかに脳を使っているときはわかるけれど、何もしていなくても脳は働き続ける。

●ぼんやりしていても脳は大食いの臓器。
脳はほかの臓器に比べてエネルギー消費量が多く、体全体の20%を脳が使っている。そのうち60〜80%は何もしなくても消費される。

●休みなく活動する脳ならではの特徴。
体は行動を止めれば休めることができるけれど、脳は無意識に働き続けるDMN(デフォルト・モード・ネットワーク)で疲労を生み出す。

●ぼ~っとするのと脳の休息が違うわけ。
一息入れてリラックスしているつもりでも、頭の中は過去や未来のあれこれを考え続けてしまいがち。ぼーっとするのと脳の休息は別物。

脳が疲れる考え方と疲れない考え方。

脳の疲労の度合いには考え方の違いも大きく影響します。

若い人は未来や夢といった明るい考え事も多いけれど、歳を重ねるほどに、老後のこと、お金や健康のこと、人間関係のことなど、先々の心配事も増えがち。振り返る過去も増えていきます。

脳が疲れるのは同じですが、ネガティブなほうが疲労度が高いことがわかっています。

悲観的に考えるということは用心深くなることでもあるけれど、負の予測を立てると考えすぎてしまうためです。その割には、そのほとんどが実際には起こらない考え損というのもまた事実。

悲観的な人は、往々にして過去や未来と照らし合わせるので、際限なく考える事が浮かんで、どんどん脳を使い続けてしまいます。

考え事のループは果てしなく続き、へたをすると寝ている間も考え続けるので、疲れがとれない大きな原因になります。

それに対し、楽観的な人は、たとえば将来に関しても楽観的だから、あまり心配しないし、過去のこともくよくよしない。するとそれだけ脳を使う量が少なくなり、疲れにくくなります。

頭を空っぽにするのが一番なのですが、そうもいかないのが無意識裏に働き続ける脳のやっかいなところです。

  • 久賀谷 亮

    久賀谷 亮 さん (くがや・あきら)

    精神科医、脳科学者

    医師、医学博士。日・米の医師免許を持つ。イェール大学医学部精神神経科卒業。日本で臨床および精神薬理の研究に取り組んだあと、イェール大学で先端脳科学研究に携わり、臨床医として精神医療の現場に8年間従事。2010年、米国ロサンゼルスにて「TransHope Medical」を開業。「Lustman Award」(イェール大学精神医学関連の学術賞)、「NARSAD Young Investigator Grant」(神経生物学の優秀若手研究者向け賞)を2年連続で受賞。趣味はトライアスロン、トレイルランニング。『世界のエリートがやっている 最高の休息法』、『脳疲労が消える最高の休息法 CDブック』(共にダイヤモンド社)など著書多数。

『Dr.クロワッサン 免疫力を強くする、疲れない体のつくり方。』(2020年6月26日発行)より。

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