からだ

糖質制限の強い味方、人生100年時代に卵が大切な理由。

ラーメン好きだった医師の亀川寛大さんが、糖質制限を自ら実行し開眼。そのときに体得したこととは?
  • 文・久冨俊裕 イラスト・松元まり子

僕も、もともとラーメンが大好きだったのですが、糖質制限で15kgの減量に成功したのは、野菜と一緒に卵や肉を食べて筋肉を保っていたからなんです。ダイエット外来で患者さんにアドバイスするときも、シニアも含めて「朝昼晩と一日3個食べて」と指導しています。卵は安価でコンビニでもゆで卵が売ってますからね。

卵は必須アミノ酸のバランスを数値化したアミノ酸スコアで最高点の100をマーク。たんぱく質や脂質だけでなくビタミンやミネラルを多く含む、健康で長生きしたい人にとって不可欠の食材です。
かつて悪玉コレステロールを増やすとされ、いまだに敬遠する人も多いですが、最近の研究で、食事でコレステロールを摂っても血中コレステロールが一定量以上になるわけではないと証明され、2015年には厚生労働省がコレステロールの摂取上限を撤廃しました。だから、どれだけ食べても問題なし。

そもそもコレステロールは細胞膜の構成要素で、ホルモンの材料や、脂肪の消化吸収を促す胆汁の成分として、生命活動に欠かせない物質。問題となるのは、酸化したコレステロールなんです。

コレステロールには粒子の小さいものがあり、これが酸化しやすい。この酸化したコレステロールが血液にのって体の各所に運ばれたときに細胞を傷つけ、がんや心筋梗塞、脳梗塞、認知症など様々な病気を引き起こします。だから重要なのはコレステロールを酸化させないこと。
そのためにはビタミンC(緑黄色野菜)を筆頭に、抗酸化力のあるビタミンA(レバー、バター、チーズなど)、ビタミンE(ホウレンソウ、ブロッコリー、ナッツなど)を、卵と一緒に摂ることが大事です。

また、動脈硬化や血栓も、コレステロール自体が悪いわけではない。コレステロールは傷ついた血管の内壁を治す物質、いわば絆創膏のようなもの。本当の悪玉は血糖値の乱高下であり、糖質(砂糖や白米、小麦粉、果物など)です。血糖値の乱高下が続くと、コレステロールが何度も血管を修理するうちに蓄積されるのです。

ちなみに卵や魚介に多いとされるプリン体も、実は尿酸値に与える影響は大きくない。むしろストレスや肥満が尿酸値を上げる原因。プリン体もコレステロールやカロリーと同じくらい気にしなくてよいものなんです。

元気で長生きしたいなら、意識すべきは糖質。年齢を重ねると筋肉は落ちる一方ですから、それを防ぐためにも肉や魚、卵でたんぱく質や脂質をしっかり摂って、運動を欠かさずに。
ウォーキングや筋トレが難しいなら、同じ場所でつま先立ちになるのを繰り返し、ふくらはぎを鍛えるだけでもいい。加齢とともにもろくなる骨も丈夫になりますよ。

人生100年、元気に楽しみましょう。

【毎日、卵3個を食べて、血管も脳も筋肉も若々しく!】

亀川寛大

お話を伺ったのは

亀川寛大 さん (かめかわ・かんだい)

医師、亀川ひかるクリニック院長。

2015年から糖質制限指導を開始。全国で講演も。ファミレスやファストフードで実食し、食後血糖値の変動を調べた『糖質制限の外食ガイド』(マキノ出版)が話題。

『Dr.クロワッサン 内臓脂肪を3週間で落とす』(2019年12月27日発行)より。

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