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ホルモン補充療法を始めてみたいと思ったら。医師に聞くQ&A。

ホルモン補充療法を受けるなら、婦人科の受診からスタート。
検査と相談で治療法を決める。

文・韮澤恵理 撮影・黒川ひろみ イラスト・ノグチ・ユミコ

メリットとデメリットをしっかり見つめて継続を

ホルモン補充療法は安全な治療法ですが、不都合がゼロというわけではありません。最初は胸のはりや、おりものの増加を感じることもあります。外用剤では、かゆみやかぶれが気になる場合もあります。こうした疑問や不安は遠慮せずに医師に伝えましょう。薬の用量を変えたり、種類を変えることで解決できる場合がほとんどです。

ホルモン補充療法は何歳まで続けたほうがいいとか、何歳を過ぎたらやめなければならないという決まりはありません。普通は女性ホルモンの分泌が少ないことに体が慣れてくる頃を目安に終了することが多いのですが、骨粗しょう症や脂質異常症の予防に役立つことから、長く続ける人もいます。

ただし、60歳を過ぎて使い続ける場合、検査などをより慎重に行います。乳がんや子宮体がん、血栓症やその既往歴がある人は原則として使用できませんが、確実にコントロールされていれば、使用できることもあります。きちんと理解し、メリットとデメリットを考えたうえで、医師と相談しましょう。

[ ホルモン補充療法Q&A ]

ホルモン補充療法を受けたいけれど、ちょっと心配! 多くの人が抱く不安や疑問に答えます。

【Q】何歳から始めるのがいいですか?閉経前から始めてもいいですか?

【A】50歳前後が最も適していますが遅すぎるということはありません。更年期は閉経の前後約5年ずつ。実際に閉経してみないと、いつから更年期だったのかはわからないものですが、通常、更年期症状があらわれてきた頃が始めどきでしょう。ですから、もちろん閉経前でも大丈夫。早期閉経の人や、卵巣を摘出している人は早めに始めましょう。

【Q】閉経から5年以上たっていますが、もう効果はありませんか?

【A】そんなことはありません。更年期特有の不快な症状が続いているのなら、効果が得られる可能性があります。エストロゲン不足による骨密度の低下や、動脈硬化の予防という意味では、遅すぎるということはありません。ただし、一般的には閉経後でも、早く始めるほどメリットが大きいといわれています。

【Q】子宮体がんや乳がんになりやすいというのは本当ですか?

【A】以前には子宮体がんや乳がんのリスクが高まるともいわれていましたが、最近の研究では、子宮体がんは黄体ホルモンを併用する方法だと、ホルモン補充療法を受けていない人より低下することが確認されています。5年以上続けると乳がんのリスクは上がりますが、わずかです。しかし、使用していない人でも乳がんは増えているので、何より定期的な検診が大切です。

【Q】どのくらいの期間続ければよいですか?一生続けてもいいですか?

【A】きちんと健康管理をしていれば、長く続けることもできます。更年期の症状が改善されたら一度やめてみて、また必要だと感じたら再開することも可能です。年齢が進むと、エストロゲンが少ない状態に体が慣れてくるので、そのタイミングで減薬や中止が一般的。目的についてよく考え、年齢に合ったホルモン量や種類で行いましょう。

【Q】周期的投与と持続的投与はどちらがいいのでしょう?

【A】周期的投与は決められた薬を決められた期間使用し、休薬期間をはさむことで月経のような出血があります。持続投与は毎日使用し続ける方法で、時間の経過(数カ月)とともに出血がなくなります。閉経からの期間や体質、本人の希望などによって変わるので、医師とよく相談しましょう。

ホルモン補充療法を始めてみたいと思ったら。医師に聞くQ&A。
  • 対馬ルリ子

    監修

    対馬ルリ子 さん (つしま・るりこ)

    産婦人科医師、医学博士。

    医療法人社団ウィミンズ・ウェルネス理事長。女性ホルモン、トータルヘルスケアの第一人者として、さまざまなメディアにひっぱりだこ。著書に『女性ホルモンで世界一幸せになれる日本女性』(マガジンハウス)など多数。

『Dr.クロワッサン 女性ホルモン力で元気に、若々しく。』(2018年4月16日発行)より。

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