腸内環境改善、免疫アップ、脳や骨の強化にも! 発酵食・乾物・雑穀を専門家が解説。
文・小沢緑子
年々疲れやすくなり、体の不調を感じやすくなるのは、免疫力の低下が一因かもしれない。
さらに今は、さまざまな感染症に罹るリスクを少しでも下げたいとき。だるさや倦怠感、季節の変わり目による体調不良、ウイルスに負けない体を作るためにも、今回、日本古来の食文化に深く根づく「発酵食・乾物・雑穀」に再注目。免疫力アップに役立つ理由を専門家に取材しました。
小林暁子(こばやし・あきこ)さん
小林メディカルクリニック東京 院長。
便秘外来、内科、皮膚科、女性外来など全身の不調に対応した診療を行う。腸のスペシャリストとして執筆した『免疫力を上げる健美腸ルール』など、著書多数。
牧野直子(まきの・なおこ)さん
料理研究家、管理栄養士。
より健康になるためのレシピを提案。生活習慣病の予防や改善、ダイエット指導なども行う。監修した『眠れなくなるほど面白い 図解 栄養素の話』が発売中。
免疫力を上げる頼もしい共通項。
「発酵食・乾物・雑穀。この3つに共通するのは『腸』への健康効果」と語るのは、料理研究家で管理栄養士の牧野直子さん。
「発酵食品に含まれる発酵菌には腸内の善玉菌を増やし、悪玉菌を抑える働きがあります。一方、乾物や雑穀に豊富な食物繊維は、腸内の掃除役として大活躍してくれます」
この腸内を改善する働きこそが免疫力を高め体を守る、と言うのは医師の小林暁子さん。
「なぜなら腸は体内の免疫細胞の70%が集まる、体内最大の免疫器官だからです。そもそも腸は体の中に取り入れた食物から栄養素を吸収し、不用なものは排出し吸収させない防御システムがあります。この機能に存分に働いてもらうためには毎日の食事が大切です。腸にダイレクトに影響しますからね」
食事による腸内環境ケアは重要と心得よう。
非常食、常備食としても注目!
「災害が頻発して非常食にも関心が集まる今、発酵食・乾物・雑穀はどれも長期保存が可能。しかも栄養価の高さも魅力です」(牧野さん)
発酵過程で体に有益な栄養が増える発酵食、食物繊維やビタミンB群やEも豊富な雑穀。
「乾物も優秀。切り干し大根や乾燥ひじきの場合、日本人に不足しがちな食物繊維に加え、鉄、カルシウムも一度に摂ることができます」
普段は常備菜として活用しながら、ストックを切らさないことで非常時にも備えられる。
日本古来の食生活を見直す時。
「雑穀、乾物は昔から日本人の貴重な食料源。発酵食も各国で古くから作られ、発酵法も菌、カビ、酵母など多彩。今これらが注目される理由は、栄養的に優れ健康効果が抜群に高い点が再評価されているからです」(牧野さん)
「海外の研究者の間でも和食は健康食として認知され関心が高いです。昔ながらの一汁三菜が基本の和食は、汁物一つとっても腸を整える食物繊維や発酵食品も摂れる。健康にうれしい食事法といえるでしょう」(小林さん)
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