大切な免疫力を維持するため、 見直すべきは日々の食生活。
撮影・黒川ひろみ フードコーディネート・田村つぼみ 文・板倉みきこ
ウイルス感染対策として、免疫力に関する様々な情報が発信される昨今。
「免疫力を上げることばかりに目がいきがちですが、実は、下げずに維持することもとても重要なんです」(女子栄養大学栄養学部教授・上西一弘さん)
ストレスや疲労、睡眠不足に運動不足など、免疫力の低下の原因はいろいろと考えられるが、日々免疫力を維持するために、最も効果的で誰でもできる方法は、食生活に着目することだ。
「体のエネルギー源となるタンパク質、脂質、炭水化物をしっかり摂る、バランスのとれた食事がベースとなります。これを当たり前に思うかもしれませんが、実は高齢になるほど、タンパク質や脂質不足の食事になりやすく、栄養不足の食生活を続けている人が多いのです。その結果痩せて虚弱になり、免疫力低下の悪循環に陥ることがあります。また、ダイエットのために炭水化物を抜く人がいますが、逆にタンパク質や脂質が過多になり、バランスが崩れるのでオススメしません」
エネルギーをバランス良く摂る食事の指標に、PFCバランスというものがある(下記円グラフ参照)。タンパク質(P)、脂質(F)、炭水化物(C)を理想の割合で摂る食事を心がければ、適切な体重を維持できるといわれている。
「さらに代謝をサポートするビタミンやミネラルもしっかり摂りましょう。ビタミンが欠乏すれば、免疫に関わる細胞機能の低下を招きます。一方ミネラルの欠乏は、体内に侵入してきた微生物や異物と戦ってくれる、血液中の免疫グロブリンのレベルを低下させるなどの影響が考えられるからです」
ビタミンやミネラルをサプリメントで摂る方法もあるが、医療機関などで調べない限り、自分にどんな成分が不足しているかを正確に把握するのは難しい。いろいろな食品を使ったバランス良い食事を心がけるほうが効果的だ。
「この栄養だけ摂ればいいということではなく、免疫力は、食事から摂る多くの成分が総合的に作用しながら、日々維持されているのです」
抗酸化力の高い食材も、 免疫力の維持に役立つ。
老化やがんなどに関係している活性酸素・フリーラジカルによる酸化ストレスを除去する、抗酸化力の高い食材も忘れてはいけない。今、上西さんが注目する食材がキウイフルーツだ。
「ビタミンCやポリフェノール、ビタミンEなど、抗酸化作用の高い成分が豊富に含まれている果物です。2年前、激しい運動で活性酸素が体内にできやすい陸上競技選手を対象にリサーチしたところ、一日2個キウイフルーツを食べることで、免疫力が改善されるという結果が得られました」
日々の食事のバランスを見直し、免疫力を維持するプラスαの食材として、キウイを上手に取り入れてみたい。
上西一弘さん