からだ

原因がわからない不快な症状、耳が関係しているかもしれません。

顔の側面に位置する耳は、小さいながら重要な役割を果たしている器官。不快な症状をなくす耳もみ方法とは?
  • 撮影・青木和義 イラストレーション・川野郁代 文・大澤はつ江

「耳に分布している自律神経線維を刺激すると、不調は解消します。」上馬塲さん

「体の不調に耳もみが有効とは今まで知りませんでした。」岸本葉子さん

(左)岸本葉子さん エッセイスト (右)上馬塲和夫さん 医師、医学博士

曇りの日は必ず頭痛がする、耳鳴りがして気分が優れないなど、原因がわからない不快な症状には耳が関係している、と医師で医学博士の上馬塲和夫さん。エッセイストの岸本葉子さんの体験を交えながら耳対談がスタート。

上馬塲和夫さん(以下、上馬塲) 岸本さんは、天気に左右される不快な症状はありますか?

岸本葉子さん(以下、岸本) 天気は覚えていないのですが、以前、朝起きがけに急にめまいに襲われたことがありました。天井がぐるぐる回るような激しいものではなく、自分がゆらゆらと揺れているような感じで、枕から頭を離すと揺れるので、押し付けていましたが駄目で。ちょっと怖くなり、収まったところで病院に行きました。

上馬塲 何科に行きましたか?

岸本 脳神経科です。MRIも撮ったのですが、異常はなし。

上馬塲 その後はどうですか?

岸本 最近も同じようなことがあり、ただただ横になって、揺れが収まるまでじっとしているしかなくてつらかった。そういえば、その時は曇りでした。

上馬塲 岸本さんのめまいは、たぶん耳石器(じせきき)から剥がれ落ちた耳石(カルシウムの小さな粒)が三半規管のリンパ液の中で揺れ動いて、バランスが崩れているのだと思います。「良性発作性頭位めまい症」ですね。

岸本 自分でもちょっと調べてみたところ、その病名のようでした。先ほど天気のことを聞かれましたが、確かに天気が悪いと不調を感じることはありますね。頭が重いとか。

上馬塲 実は内耳(耳の奥)には、気圧の低下を感知するセンサーがあり、それが脳に情報を伝えストレスを生じさせ、自律神経がアンバランスになり、めまいや耳鳴り、頭痛などの不快な症状を引き起こすといわれているんです。

岸本 耳が気圧センサーの役目をしているなんてすごい。知りませんでした。

耳介の内と外、自律神経の違いを知って上手に刺激すると効果アップ。

上馬塲 耳には自律神経の求心性線維(末梢から中心へ刺激を伝える線維)が集まっていて、そこを刺激することでアンバランスになった自律神経を整えることができるんです。耳たぶを含めた外側部分には交感神経、耳の穴を中心にした内側に副交感神経の求心性線維が分布しているので、症状によって使い分けると効果的です。

岸本 一般的に交感神経は活動を高める神経、副交感神経は心身をリラックスさせたり、内臓の働きを促したりするといわれますが、耳も同じですか?

上馬塲 同じです。中でも耳たぶは脳に対応するといわれ、ここをもむと脳の機能が活性化される効果が期待できるといわれています。

岸本 そういえば耳たぶをもんでいると体が温かくなりますが、これも効果のひとつなんですか?

上馬塲 交感神経にはα受容体とβ受容体があり、耳たぶをもむと特にβ受容体が刺激されて血管が拡張し、体全体の血流がよくなり温まるんです。耳を保護するだけでも違います。

岸本 だから寒い時に耳に手を当てたり、耳当てなどで耳を覆うと体が温まるんですね。

上馬塲 その上、脳の血流が増加するので視界がはっきりすることも実証されています。耳たぶが硬い人は冠動脈硬化症があることが多いです。よくもんで柔らかくしておきましょう。

岸本 外側の自律神経は思考を覚醒させ、逆に内側はリラックス効果がある。だから、耳かきをすると眠くなるわけです。子どもの頃、母に耳かきをしてもらうと、心地よくてウトウトしていたのを思い出しました(笑)。

上馬塲 耳かきは極楽です(笑)。

岸本 足裏のツボ同様、耳ツボも不調を解消するといわれますね。

上馬塲 耳には自律神経や内臓の働きを助ける反射区が足裏同様にたくさん集まっています。ですから、不調を解消するツボを押すのは効果抜群です。
岸本 耳もみと一緒に行ってもいいのでしょうか?

上馬塲 深呼吸をしながら、ぜひ一緒に行ってください。深呼吸で体の緊張が取れ、脳にも酸素が行き渡りますから、まさに相乗効果。でも、耳もみや耳ツボ押しだけを行っていれば不調が解消されるわけではありません。不調を根本的に改善するにはバランスのよい食事や睡眠時間を取るなど、規則正しい生活を心がけることも大切なんです。スマホなどで音楽を聴くためにイヤホンを使用する人が増えています。これも内耳を酷使することになりますので、適度な時間での活用をおすすめします。

岸本 耳が痛い(笑)。不調改善に効果的な食材はありますか?

上馬塲 自律神経系にいいといわれる栄養素はビタミンB1、B2、B6。亜鉛やマグネシウムも有効です。耳鳴りや難聴は亜鉛が不足しているともいわれていますので、意識的に摂取するといいと思います。

岸本 これらの栄養素が含まれる食材をプラスしながら、偏らない食生活を心がけることが大切なんですね。 

上馬塲 体は全てつながっていますから、局所的にこれだけを行えばいい、食べればいいではないんです。

岸本 当たり前ですが、生活をきちんと自己管理することが不調を解消するカギですね。そのツールのひとつとしての耳もみと耳ツボ押しがある。耳って小さな器官なのに重要な役割を担っていることがわかりました。もっと大切にしてあげなければいけませんね。

上馬塲さんの指導で耳たぶをもむ岸本さん。「こんなに耳たぶをもんだことはありません。体が温まってきたような気が」
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