からだ

何度もくり返す膀胱炎。泌尿器科の治療だけでいいのか気になっています。【86歳の現役婦人科医師 Dr.野末の女性ホルモン講座】

  • 撮影・岩本慶三 イラストレーション・小迎裕美子 構成・越川典子

Q. 何度もくり返す膀胱炎。泌尿器科の治療だけでいいのか気になっています。

ここ1、2年、膀胱炎をくり返しています。泌尿器科でその都度抗生剤をもらい、治療しているのですが、何となく残尿感が続いているのです。更年期になると、女性器の乾燥が始まると聞いたことがあり、私自身、実感しています。閉経は、たぶん1年半くらい前だと思います。もしかしたら、膀胱炎も更年期と関係しているのでしょうか。今後もくり返すようなら、泌尿器科だけの治療でよいものでしょうか。(T・Rさん 53歳 教員)

A. 閉経後の粘膜の乾燥も関係していますね。根本治療も考えましょう。

野末悦子さん 産婦人科医師、久地診療所婦人科医

T・Rさん、何度も膀胱炎を起こして、さぞかしご不快な思いをされましたね。おっしゃるとおり、閉経後の女性は、膀胱炎や尿路感染症をくり返すことが多く、膣炎、外陰部のかゆみや痛み、おりものが増えるなど、さまざまな不快症状もみられます。それらを総称して、GSM(閉経関連泌尿生殖器症候群)と呼ばれており、閉経後の女性のQOL(生活の質)を維持するため、泌尿器科・婦人科でさまざまな取り組みも始まっています。

不快症状の主な原因は、エストロゲンの分泌が減ることで起こる、粘膜の乾燥です。尿道も粘膜です。細菌が侵入しやすくなるわけですね。膣内も、通常は酸性に保たれているのですが、粘液などのうるおいが失われることで㏗(ペーハー)バランスが崩れ、雑菌が繁殖しやすくなってしまいます。

泌尿器科での治療とともに、ホルモン補充療法(HRT)で少量のエストロゲンを補充すれば、ずっと快適に暮らせるようになると思います。

ただ、その前にお願いしたいのは、膀胱がんなど他の病気が隠れていないか、かかりつけの泌尿器科で必ず確認をしていただきたいのです。私の患者さんには、全員に乳がんなどのがん検診をしていただき、その後に治療を始めるようにしています。更年期世代は、がんの好発年齢。私自身、40代で乳がんを発見したこともあって、毎年のがん検診は欠かしません。

尿路感染症の症状

●尿道炎
排尿時痛など

●膀胱炎
頻尿、排尿時痛、残尿感など

●腎盂腎炎
膀胱炎症状、発熱、悪寒、腰痛など

同じ感染症でも、炎症の場所で症状が違う。排尿時に痛みや違和感があったら専門医へ。

泌尿器の構造

女性の場合、尿道が短く、感染症にかかりやすい。早めの診察で、重症化させないことが肝心。

さて、HRTの治療についてお話ししておきましょうね。閉経前後の患者さんには、経口剤、経皮剤(貼る、塗る)が処方されることが多いのですが、短期的に、膣剤を直接、膣に入れる方法をとることもあります。もちろん、組み合わせることもできますので、医師とよく相談なさってくださいね。

入浴の時は、石鹼をよく泡立てて、そっと洗ったり、排尿後も、ペーパーでそっと押さえるように拭いたりして、強い刺激を避けましょう。

快適に毎日を過ごすための手段を、賢く選び取ってくださいね。

※症状や治療法には個人差があります。必ず専門医にご相談ください。

何度も言います、我慢は無用。快適な道を選ぼう。(Dr.野末)

野末悦子(のずえ・えつこ)●産婦人科医師、久地診療所婦人科医。横浜市立大学医学部卒業。川崎協同病院副院長、コスモス女性クリニック院長、介護老人保健施設「樹の丘」施設長などをへて現職。

『クロワッサン』1021号より

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