中尾ミエさんの骨トレ。「毎日体を動かせば、70歳超えても体は自ずと変わります」。
撮影・岩本慶三 ヘア&メイク・杉村 修(中尾さん) 文・寺田和代
すらりと伸びた背筋に、しなやかな身のこなし。鍛えている人ならではの軽やかな動きに思わず見惚れてしまう。
「50代の頃、骨密度を測ったら20歳と言われました。骨を意識して鍛えてきたわけではないけれど、骨にはちょっと自信があるわね」と中尾ミエさん。
歌も踊りも芝居も基本は体。骨の強さや筋力維持のために、若い頃から日常的に体を動かすことを習慣にしてきた。現在、定期的に取り組むのは水泳、ストレッチ、タップダンスの3つ。
「水泳は60歳くらいからかな。週1度、1時間トレーナーについて練習しています。ほとんど泳げないところから始めて、73歳の今、マスターズ水泳大会で毎年記録を更新中。漠然と泳ぐのではなく、レースや記録を目標にすると頑張れるし、今日は(サボっても)いいやってことがなくなるのがいいの」
スポーツジムで週1回受けるストレッチのエクササイズも欠かせない。
「年齢とともに体をしなやかに保つことが大切ね。いくら筋トレしても、体の中のバネが硬くなると怪我しやすくなるし、思わぬ転倒にもつながるから」
さらに中尾さんの十八番であり、若い頃から続けてきたタップダンス。
「足裏や踵から伝わる刺激が結果的に骨の強さを守ってくれているのかも」
心身ともに晴れやかな状態を維持するために生活習慣や食事にも気を配る。
「まず早寝早起き。毎朝5時半に目覚めると、体を起こす前にベッドの上で30分ほどストレッチ。7時前には犬の散歩に出かけ、公園の雲梯(うんてい)で懸垂の練習したり。すごいでしょ? まだうまくできないんだけど、『ピピン』というアクロバティックなショーに出た時、監督から毎日懸垂10回って言われて以来、習慣になっています」
「50代で骨密度を測ったら“20歳です”と。」(中尾さん)
朝のストレッチは睡眠中に固まった体をほぐし活動スイッチを入れるため。
「股関節の可動域を広げたり、両手両足をバタバタ振る“ゴキブリ体操”をしたり。するのとしないのとでは、体の軽さや動かしやすさが全然違ってきます」
朝食はミネラルやビタミンのバランスが取れたミューズリーを中心に、同じメニューを10年以上続ける。暴飲暴食は避けるけれど、あまり禁欲的に節制することもない。
「この食事と運動で疲れにくいし、体重も体形もほぼ変わらない。毎日体を動かしていれば70歳を超えても体はポジティブに変化し、それによって心身ともに楽でいられます。それがわかっているから、体を動かさずにダラダラ過ごす日ってほとんどありません」
人とつながり、仕事も運動も「チームで楽しく」をモットーにしている。
「一人で続けるのは難しいから『やるよー』って周囲のみんなに声をかけて。観客の皆様に楽しんでいただくためには、まず私自身が楽しく生きなきゃ」
『クロワッサン』1016号より