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親の介護が始まり、仕事もやめることに。体調もすぐれません。【86歳の現役婦人科医師 Dr.野末の女性ホルモン講座】

  • イラストレーション・小迎裕美子 撮影・岩本慶三 構成・越川典子
野末悦子さん 産婦人科医師、久地診療所婦人科医

Q. 親の介護が始まり、仕事もやめることに。体調もすぐれません。

義理の母親が認知症の初期に。いよいよ介護が始まるのかと思うと、気が重いのです。夫は当然、私が面倒をみると思っているので、仕事もやめることになりそうです。友人の中には、介護離婚をした人も。私は更年期障害で、漢方薬を処方されています。野末先生は親御さんの介護をされましたか。私には、どんな心構えが必要でしょうか。(S・Hさん 53歳 派遣社員)

A. 治療方法も含めて、体調と環境を整えて今後を考えましょう。

S・Hさん、はじめまして。ご自身の不調だけでなく、いろいろな問題に直面しているのですね。更年期障害の原因のひとつに「環境要因」があるのも、年齢的に責任が重くなる世代ゆえ。家事・育児に加え、親の介護、子どもの受験・就職、自身の昇進など、S・Hさんのように人生の岐路に立たされる女性は少なくありません。

S・Hさんは漢方薬を処方されているとのことですが、効果は実感されていますでしょうか。もし充分な効果が得られないようでしたら、ホルモン補充療法(HRT)を含め、他の治療との併用を検討してもいいかもしれません。一度、主治医と相談してみましょう。

認知症の初期との診断を受けていらっしゃるお母様。文面だけでは詳しいことはわかりませんが、軽度認知障害(MCI)の段階で適切な治療、生活習慣の見直しをすることで、症状を改善することは充分に期待できます。早めに発見すること、もっと言えば予防をすること。これはどの病気でも同じなんですね。

日本では、介護や看護のために離職する人が年間10万人います。そのうちの75.8%が女性です(「介護・看護を理由にした離職者」の図参照)。企業の体制が整ってきたからか、女性の離職数は減少傾向にありますが、まだまだ。S・Hさんが仕事を続けたいのでしたら、そのための方策を今から立てておくこと。家族とどう協力態勢を作るか話し合い、自治体の支援などをリサーチしておく。これだけでも、気持ちは違ってくると思います。もちろん、仕事は続けたいというご自分の意思は、きちんと夫に伝えることが前提です。

介護・看護を理由にした離職者

離職者の4分の3は女性。離職後の収入減だけでなく、社会とのつながりもなくなることは大きなデメリットに。離職後に再就職できたのは約25%。一旦職を手放すと、再就職は難しいのが現実。総務省「就業構造基本調査2017」より作成

私の場合は、自分の母親を自宅介護することになったときが一番の危機でしたね。閉経後は関節の痛みがひどく、これでは介護はできない。乳がんの既往がある私ですが、諸条件を整えてHRTを開始。ヘルパーさんも頼み、介護と仕事の両立を乗り切った経験があります。

介護うつなどにならないよう、心身を上手にコントロールすることが大事な時期。決して1人でがんばらないこと。自分にとって何が必要か、考えてみましょう。

※症状や治療法には個人差があります。必ず専門医にご相談ください。

1人でがんばらない。プロの手を上手にかりよう。(Dr.野末)

野末悦子(のずえ・えつこ)●産婦人科医師、久地診療所婦人科医。横浜市立大学医学部卒業。川崎協同病院副院長、コスモス女性クリニック院長、介護老人保健施設「樹の丘」施設長などをへて現職。

『クロワッサン』1014号より

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