乾燥は皮膚のかゆみ・くすみ、歯周病、性交痛の原因にも。
「乾燥するのは、皮膚だけではありません。ドライアイ、ドライマウス(口の乾き)をはじめ、腟の違和感や痛みまで、女性ホルモンが失われることで、全身のあちらこちらが潤いを失って、乾燥していきます」
女性ホルモンは、皮膚や粘膜では弾力成分のコラーゲンやエラスチンをつなぎとめる役割をしている。そのため、女性ホルモンが減少してしまう更年期以降は、皮膚表面が乾燥して薄くなり、潤いが失われてしまうことに。
症状のひとつであるドライアイは、40代以降の女性の罹患率が高いことが知られている。また、口の中では、粘膜が乾燥することにより歯周病菌が増殖しやすくなるといわれている。
そうした症状を緩和するとされるホルモン補充療法は、女性ホルモンが皮膚のコラーゲン量を増加させることで皮膚や粘膜の厚みを増し、弾力性を取り戻すことにもつながる。
「皮膚のかさつきやかゆみの改善には効果があることがわかっています。『補充療法をしてからお化粧のりがよくなった』という人もいるようです」
腟では、女性ホルモンがなくなると分泌液が減って乾燥しやすくなり、粘膜も薄くなるため、ちょっとした刺激にも傷つきやすくなる。腟のかゆみや違和感(乾燥感)、痛み、尿がしみる、尿もれなどの症状は、閉経後年齢とともに悪くなっていく。
「悩んでいる人がとても多いのは、実は性交痛です。婦人科医にも言いにくいようで、他の症状で受診され、ついでに相談される方がほとんど。『あなた一人ではないですよ』ということは、ぜひお伝えしておきたいです」
対処法も知っておこう。まずホルモン補充療法には腟剤があり、腟炎や性交痛には良い効果を発揮する。また、潤滑ゼリーもあり、婦人科クリニックや調剤薬局で取り扱っているものも。