本書は、大塚さんが親しく交流した4人の子どもたちを中心に綴られている。2人は幼くして世を去ったが、2人は退院して小児科医と臨床心理士を目指すなど、前向きな人生を歩み始めている。
「小児病棟の子どもたちは、自分の置かれた境遇を察しているのか、普段、不自然なくらいにわがままを言わず、いい子にしているんです。でも、セラピー犬が来るときだけは、子どもらしくはしゃいで硬さがほどける。その笑顔がいじらしくて……。中でも、白血病に侵された“ちぃちゃん(千歳ちゃん・享年7)”は、セラピー犬への気遣いが感じられて、最初、犬を飼っている子かな?と思ったほどでした。成熟した魂の持ち主というか、今でも私たちに“死との向き合い方”を伝えるために生まれてきた、特別な子どものような気がしています」
子どもたちの与えられた試練を目の当たりにしていると、日常の些細な事がどうでもよくなる、と大塚さんはいつも感じたそうだ。