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花のある暮らしを実現する方法。

たとえば庭で剪定した枝、食材の野菜や果物だって季節のしつらいにできてしまう。フラワースタイリストの平井かずみさんに、ふだんの暮らしの中で気軽にできる花の取り入れ方、飾り方を教えてもらいます。

「物が多く、生活感がある。そんな場所にこそ花を」と話すのはフラワースタイリストの平井かずみさん。いつも花のある暮らしに憧れはあるものの、部屋中に物があふれていて、花をいけられそうなスペースがない。

「そんな人には、私が実践している〝ついでの花掃除〟をおすすめしています」

整理整頓と掃除を完ぺきにした上で花をいけなくちゃと思うから、気が重くなる。まず、花をどこに飾るか決めたら、気になる邪魔なものだけを片づけて、その場で花をいけながら、ついでに周辺のホコリをささっと拭き掃除。一連の流れのなかで、自然にそのスペースがきれいになるというものだ。

無理にたくさんの花をいけようとしないことも肝心。

「人に見せるためではなく自分や家族が心地よくいるための花だから、さりげないほうがいい。そして、何よりも旬の草花を選ぶことが大切です。外の自然の景色を家の中に取り込むような感覚で。忙しくても、暮らしの中に季節を感じるものがあるだけで、気持ちが整います」

庭で剪定した枝、食材の野菜や果物だって季節のしつらいにできてしまう。具体的な悩み別に平井さんのアドバイスを紹介しよう。

Q.キッチンやダイニングにも花をいけられますか?

ハーブや旬の果物も飾って楽しんで。

清潔感のあるグリーンのハーブを。

キッチンや食卓では香りの強い花を避けたほうがいいけれど、みずみずしいハーブならOK。料理用に買ったものを飾っても。花材:パイナップルミント、スペアミント、バジル。

味わう前に、目でも旬を堪能する。

旬のフルーツや野菜を買ってきたら、見えないところに隠さずに大きめの鉢やカゴにいれて飾ってみると、これも立派な季節のしつらいに。花材:イチジクの実、フィリカ

Q.部屋が狭く、花を飾るコーナーが見つかりません。

A.家の中の意外なスペースに注目してみよう。

会話のきっかけにもなる玄関の花。

玄関の三和土(たたき)に高さのある器を置き、季節感のある大ぶりの花や枝をいけると絵になる。家じゅうを掃除できなくても玄関だけはすっきりときれいにしておきたい。花材:アナベル

ホコリが溜まりやすい場所にあえて花を。

階段、踊り場などは、ホコリが溜まりやすい場所。花をいけるたびに気にかけて掃除することできれいに保てる。花材:スチールグラス、レースフラワー、ムラサキエノコログサ

Q.花瓶を持っていないし、物を増やしたくないのですが。

A.ふだん使いの器を花器に見立てて。

料理に合う器は、花にも合う。

気に入って手に馴染んでいる食器なら、花をいけても上手くいくはず。小鉢や中鉢にいけるのも素敵。器のふちに引っ掛けるようにいけると安定する。花材:クロホオズキ

器の表情を花いけにも生かして。

片口、ピッチャーのように注ぎ口や取っ手がついている器はそれ自体に表情があり、シンプルな花いけにも奥行きが出る。器の向きを考えていけるのも楽しみのうち。花材:ジニア

Q.子どもやペットがいるので、置くのはちょっと・・・。

A,壁に掛けるリースや掛け花がおすすめ。

リースならドライにして長く楽しめる。

器を置くのが難しいならば、壁を利用。リースに仕立てれば器も水替えも不要で、花によってはそのままドライになるまで長く飾って楽しめる。花材:アジサイ、シダ、ユーカリ

吊るせる瓶など使って掛け花に。

試験管、小瓶など紐で吊るせるものを花器にすれば、掛け花ができる。蔓や動きのある茎の花が合う。写真の瓶はアンティークの種入れ。花材:クレマチス(ベルテッセン)

『クロワッサン』934号より

●平井かずみさん フラワースタイリスト/雑誌、広告のスタイリングのほか、東京・自由が丘の『caféイカニカ』を拠点に、全国でワークショップを開催。著書『フラワースタイリングブック』(河出書房新社)など。

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