五感を刺激する超進化形ダンス。ブランカ・リー『Solstice(ソルスティス)─夏至/冬至』
文・石岡 裕
TACT/FESTIVAL 2018
ブランカ・リー『Solstice(ソルスティス)─夏至/冬至』
東京芸術劇場 プレイハウス 6月29日(金)~7月1日(日)
毎年、東京芸術劇場を中心に開催されるタクト・フェスティバルは、子どもから大人まで楽しめる世界のパフォーマンスを集めたイベント。第9回となる今年は、フランスから招聘するブランカ・リー振付・演出の『Solstice(ソルスティス)』が見逃せない舞台となりそうだ。
ブランカ・リーはスペイン出身で現在はフランス・パリを拠点に活動する振付家。若き日にニューヨークで現代舞踊のレジェンド、マーサ・グラハムに師事。スペイン帰国後はセビリア万博(’92年)などで活躍し、ペドロ・アルモドバル監督作品では振付や出演も。ビヨンセのPVや、J.P.ゴルティエのショーの振付など、音楽やモード界でもその才能はまさに引く手数多。2013年には日本の現代美術ユニット明和電機とコラボした『ROBOT』を発表、ヨーロッパを中心に大きな話題を呼んだ。
ブランカ・リーのスタイルは、ダンスに新しいテクノロジーや視覚表現を積極的に取り入れるところが特徴。『ROBOT』もAIやテクノ表現に果敢に取り組んだ作品だが、今回の『Solstice(ソルスティス)』では、さらに高精度なプロジェクションマッピングを使い、地球規模の大自然の表現にチャレンジ。シンプルな衣装を身につけたダンサーたちが、はためき、たゆたう布に投影された波や炎、雷光の中で踊るシーンは、目も眩むようなスペクタクルだ。一方でパーカッションを主体とした野性的なリズムが、踊り手も観客も巻き込んで劇場全体を震動させる。
ブランカ・リーは地球環境への危機意識を込めたと語るが、題名が意味する「夏至/冬至」が示すように、生命の源、太陽を奉じた大自然賛歌としても熱いメッセージを放つ。
躍動する身体とめくるめく映像に原始的なサウンド、まさに五感が震える舞台にあなたの魂はどう共鳴するか。それを確かめるためにも、ぜひ劇場に足を運んでみてほしい。
『クロワッサン』973号より
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