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【京都美術散策マップ】建仁寺から祇園へ。花街が育んだ味を求めて。

建仁寺は鎌倉時代、1202年に創建された臨済宗の名刹。

静かな境内から北に向かって歩きだすと、行き交う人が絶えない祇園、花見小路に身をおくことになる。そのまま北に向かい、四条通を渡る。祇園切通しの小道に入ってすぐのところにあるのが、『切通し進々堂』。京都のパンの老舗、進々堂の二代目から、自社のパンを扱ってもらう代わりに、「進々堂」の屋号を使っていいと言われたという。

その2軒先にあるのが『権兵衛』。戦前は四条小橋に店を構えていたが、戦後間もなく、四条通の拡幅に伴い、ここに移転した。

両店とも花街の人々に愛され育まれてきた店。その味は確かなものだ。

さて、建仁寺から東に向かい、華麗な蒔絵で有名な高台寺に向かう途中の路地に折れると、『祇園にしかわ』。名店で修業を積んだ主人による料理の組み立ての妙を楽しみたい。

【京都美術散策マップ】建仁寺から祇園へ。花街が育んだ味を求めて。

建仁寺

俵屋宗達/風神雷神図(複製)。京都市東山区大和大路通四条下る小松町 ☎︎075・561・6363 拝観時間10時~16時30分(3月1日~10月31日)、10時~16時(11月1日~2月28日)。拝観休止日12月28日~12月31日。拝観料500円。

切通し進々堂/玉子トースト

サクッと焼けた食パンにかじりつくと、挟まれた卵焼きに弾き返されそうになる。なるほどこれが地元の人から「絶品」と呼ばれる玉子トーストか……。塩気とは別の旨味がじわり。「味付けは卵に塩とあとちょっと」。それが何かわかる?と言いたげに笑う藤谷法子さん。母親から味を受け継いで13年。プリプリの卵焼きは季節によって微妙に味付けを変えているという。

●住所 京都市東山区祇園町北側 ☎︎075・561・3029 営業時間10時~16時30分(喫茶LO)、~18時(販売) ㊡月曜 玉子トースト300円、上玉子トースト330円、玉子サンド650円。

半切りのトーストの大きさに合わせて丁寧に焼く卵の厚さは約2センチ。
半切りのトーストの大きさに合わせて丁寧に焼く卵の厚さは約2センチ。

祇園にしかわ

「相性のいいものを全部集めてみました」そう言いながら、主人の西川正芳さんが出してくれた鉢は、主役の食材の味に、さらにいくつかの味を重ねた力強いもの。その次には、潔ささえ感じるほど、味の要素を削ぎ落とした一皿。京懐石の繊細さは、濃と淡、大胆と細心といった料理の組み立てにも宿ることを実感できる。すべて食べ終わって反芻してみれば、一品一品の食材の組み合わせ、味付けに納得できるのだ。ミシュラン二つ星を獲得した名店でもある。

●住所 京都市東山区下河原通八坂鳥居前下ル下河原町473 ☎︎075・525・1776 営業時間12時~15時(退店)、18時~20時(LO)㊡日曜、月曜昼 昼の懐石料理5,000円、8,000円、1万5000円、おまかせ。夜の懐石料理1万5000円、2万円、おまかせ。

料理の最初に出る季節感あふれる八寸。鯖寿司はじっくり味わいたい。
料理の最初に出る季節感あふれる八寸。鯖寿司はじっくり味わいたい。

権兵衛/ 親子丼

ふわふわの卵に覆われた親子丼。すっきりした出汁に小ぶりの鶏肉。「うちは蕎麦屋ですから、丼用の浅い鍋は使いません」四代目主人の味舌輝明さんが手にしているのは、底の深い雪平鍋。ふわふわに仕上がる秘訣はこうだ。「この鍋に出汁をはって、かしわ(鶏肉)を炊きます。炊けたかしわだけごはんの上に。鍋に残った出汁に溶いた卵を入れて火を通します」出汁は、丼の底、最後の一口のごはんに染みないよう加減する。「さっぱり締めていただきたくて」

●住所 京都市東山区祇園町北側254 ☎︎075・561・3350 営業時間11時30分〜20時 ㊡木曜 親子丼1,500円、きつねうどん880円、ささめ天ざるうどん(夏期限定)2,500円。

芸姑さんや舞妓さんが食べやすいよう、鶏肉を小ぶりに。
芸姑さんや舞妓さんが食べやすいよう、鶏肉を小ぶりに。

『クロワッサン』935号より

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