山口馬木也さんが語る、舞台『髑髏城の七人 LAST STAND』──相手の気配を感じながら踏み込んでいく。殺陣は恋愛に似ていると思います
撮影・小笠原真紀 スタイリング・遠藤リカ ヘア&メイク・伊達美紀 文・木俣 冬
街を歩くと「お侍の人ですよね」と声をかけられるという山口馬木也さん。
大ヒットした主演映画『侍タイムスリッパー』の影響だ。大河ドラマ『豊臣兄弟!』(NHK)では戦国武将・柴田勝家を実在の人物の肖像画そっくりの勇猛果敢な風貌でドラマを引き締めた。
女性ファン急増中で「いま人生で一番のビッグウェーブが来ています(笑)」とはにかんだ笑顔になった。
「見た目──骨格がしっかりして顔立ちも濃いからか時代劇が似合うと思われるのでしょうね。実際の僕ですか? どちらかというと中性的じゃないかなと自認しています。演じる役のような男臭いところはあまりないんですよ。きょうだいは姉がふたりなので、男同士の熱い関わりあいみたいなものを意外と通ってきていないんです」
美大出身で俳優になる前は絵本作家を目指していた。料理も得意。インタビュー中は物腰柔らかで、いわゆる武士のような圧はまったくない。テレビや映画で見るとあんなにも熱い血潮がほとばしるような剣さばきを見せるのに。でもその殺陣の秘訣は意外なもので、相手と会話するように刀を交えることを心がけているそうだ。
「恋愛みたいなものかなって。例えば、おつきあいをはじめたばかりのふたりがお互いの指先がちょっと触れたとき、かすかに当たった箇所に意識を集中しますよね。ふと目が合ったときに言葉にしなくても何かを感じることもある。そのときの感覚を大切にしています。自分をどう見せるか考えて動くよりも、まず相手がいま、どういう心境なのか考えながら殺陣をやっています」
アクション中、相手の刀に刀身を当てないように配慮もしている。
「スタッフの方が心をこめて作ってくださっている刀に傷をつけたくなくて。大切に使うことで武士の魂に近づいていくような気がしているんです」
次回作、劇団☆新感線『髑髏城の七人 LAST STAND』では旅する浪人、実は──という大物役。山口さんが演じたらどんなふうになるだろう。
今後やってみたい歴史上の人物は?
「やっぱり織田信長や坂本龍馬には憧れます。いつか主役をやりたいと願って俳優をやってきて50代でかないました。現状に甘んじることなく目の前の仕事をしっかりやりながら、いつかもう一度、主演作に出合いたいですね」
『クロワッサン』1175号より
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