『建築トリック謎解きガイド』安井俊夫 著──ミステリでお馴染みの建築のあれこれを解説
文字から栄養。ライター・瀧井朝世さんの、よりすぐり読書日記。
文・瀧井朝世
家の間取りや物件を見るのが好きだ。読書では、ミステリ小説をよく読む。そんな私のような人間が、この本を見つけてわくわくせずにいられるだろうか。一級建築士であり、ミステリ書評などの執筆活動も行う著者が、ミステリ内の家にまつわるトリックやガジェットについて教えてくれる一冊。イラストが非常に分かりやすく可愛らしいなと思ったら、描き手のPeccoさんも一級建築士兼イラストレーターなのだとか。
たとえば、ミステリによく登場する窓のない部屋、つまり隠し部屋についての章では、住宅の居室には窓の設置など細かい規定があるため、家を建てる際には検査が入ることが説明される。秘密の部屋のある家を建てる場合、いかに検査員の目をごまかすか、真剣に検証されていておかしい。鍵の歴史や種類、扉や階段のあれこれやそれを使ったトリック、奇妙な形の家など、さまざまなアプローチで楽しませる。実在のミステリもたくさん登場する。トリックに言及する際は原典には触れず、書名を出す時にはトリックには触れないという、ネタバレ回避配慮もありがたい。ブックガイドとして活用する人もいるだろうし、自宅建築の参考にする人もいる……かも?
『クロワッサン』1171号より
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