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〈新田恵利の看取りの話 Vol.3〉大人の修学旅行in真鶴 後編——大人になった私たちの話題といえば

6年半にわたる実母の在宅介護と看取り、愛犬たちとの別れを経験してきたタレント・新田恵利さんの新連載。介護を「別れを受け入れる準備の時間」と捉える新田さんが、読者の人生に寄り添う看取りのエピソードを綴ります。今回も大人の修学旅行について。友人たちとの時間は、一瞬で“あの頃”に戻ることができる反面、話題は切実な「健康と親の介護」について。新田さんの思う、介護準備に必要な「3つの本音」についても教えてもらいました。

文・新田恵利 編集・クロワッサン編集部

相州真鶴貴船神社を訪れました。毎夏、国指定重要無形文化財「貴船まつり」が行われます。今年は7月25日(金)、26日(土)に開催予定だそう
相州真鶴貴船神社を訪れました。毎夏、国指定重要無形文化財「貴船まつり」が行われます。今年は7月25日(金)、26日(土)に開催予定だそう

私たちの大人の修学旅行の続きをお話ししますね。

小学校6年の同級生と45年ぶりの旅行は、とても楽しくて1ヶ月以上経っても「真鶴ロス」と盛り上がるほどです。若い頃を共に過ごした仲間とは、流れた年月に関係なく会えばその頃に戻れますね。私の場合は小・中・高と学生生活の全てが地元の共学でした。そしてもう1つ女子校のようなものが存在していました。それがおニャン子クラブです。解散後も当時のメンバーと仕事やプライベートで会いますが、時の流れもなんのその、直ぐに当時の空気感になってしまいます。おしゃべりに夢中でスタッフの話を聞かないのも当時と同じ……。問題です(笑)。

話は戻って再会で盛り上がるテンションとは真逆で、話す内容は自身の健康と親の介護について。

この視点から簡単に私自身を振り返ると、2013年に脳動脈瘤が見つかり経過観察。2014年に実母の介護が始まるとストレスのせいでしょうか、脳動脈瘤が大きくなり2016年に手術。6年半の在宅介護を2021年に卒業。2023年にパートナーである夫の悪性リンパ腫。半年間の抗がん剤治療を経て寛解。更に2年が経過したので再発の確率は低くなり夫は元気に体重増加。私1人の健康と介護の話だけでも盛りだくさんです。

45年分の人生×5人となると1泊2日では語り尽くせません。別々の人生を歩んできた同級生は世の中の縮図かもしれません。他の4人の介護の近況だけでも色々です。まず1人目は私の幼なじみで介護はすでに卒業。お母様を施設でお父様を在宅で介護していました。彼女の介護生活は私よりずっと長かったのですが、私と重なっていた時期もあり、一緒にランチしたり現実逃避の旅行へ出かけては、愚痴って怒って、泣いて笑ってお互いを支え合ってきた同志でした。2人目、今は専業主婦なので実家で暮らすご両親を週に一度訪れる通いの介護です。ご両親は要介護2だそう。3人目、お母様とお兄様が実家にいて、まだ介護の心配はないようです。月に1度か2度、仕事の合間に顔を出していますが来年は実家へ戻ろうかと思案中のようです。4人目、実家の近くに暮らし、お父様は元気。お母様は4月に要介護1と認定されて、家の中に手すりを付けたと話していました。「まだ夫の両親が元気なので助かってる」とも……。こんなことを言うのもなんですが、いつか両家ダブルの介護になる可能性も大きいですよね。そうなったら大変。とは言え避けて通れない親の介護。準備だけはしておかないと。

介護の準備に必要なものは何ですか?

と取材でもよく聞かれます。たくさんありますが「私が思う3つの本音」を呟いちゃいます。

①情報

SNSの普及で世の中には溢れるほど情報があるのに、介護に関しては自分で情報を取りに行かないとダメ。情報格差は大きいです。例えば在宅介護で要介護4~5の場合、水道料金と下水道使用料の「基本料」が減免される場合があります(諸条件や地域で変わります)。私はこの事を母が亡くなった後に知りました。母は最初の1年が要介護4、亡くなる前の半年は要介護5。申請すれば1年半、この支援を受けることが出来ました。でもケアマネージャーも誰も教えてくれませんでした。介護にはお金が必要です。いつまで続くか分からない介護。節約し無駄をせず大切にお金を使いたいです。支援があるのを知っていて使わないのと、知らないで使えないのでは違います。選択肢があるとないでは金銭的にも精神的にも大きな差です。是非、情報を得るアンテナを張っておいてください。

②お金

やっぱりお金、ですよね。ご両親の年金や貯蓄、資産で賄えるなら何の問題もありませんが、足りない部分をどうするか? 早ければ早いほど打つ手はあります。

③コミュニケーション

足りないお金をどう補充するか? 早ければ早いほど……と書きましたが、その打つ手にもコミュニケーションは欠かせません。両親と財産やお金の話、延命や葬儀の話はしづらいとよく耳にします。母と大の仲良しだった私。葬儀の話も延命の話も抵抗なくしてきました。母は貯金や財産、全くなし。だから話し合う必要もなし(笑)。何で出来ないのか? 考えました。答えはコミュニケーション不足です。お盆とお正月しか会わないのにお金と命のお話は出来ませんよね。私は母と別々に暮らしていた10年間、毎日、電話をしていました。良く話す事がありますね〜と取材で聞かれましたが、ある訳ないですよ。だから「元気? 変わりない? じゃ仕事に戻るから明日ね、おやすみ」と1分で終わることもあります。でも毎日、話していれば声だけで体調の変化も感じとれます。提案しておいてなんですが「毎日」は大変で負荷が大きいです。でも携帯のある昨今、毎週末だけでも連絡してみてはどうでしょう? 以前、お話を伺った日本認知症学会の理事長も仰ってました。「人は信頼していない人の言うことは聞かない」と。コミュニケーションをしっかり取って、信用ではなく信頼される親子関係を築いて下さい。「こんなに私達のことを考えてくれてる」と感じたら、向こうから色んな話をしてくれると思います。

最後におまけの真鶴半島のミニ知識を。

坂道や階段が多い地形で、急勾配エリアの要所にはしっかりと手すりが整備されています
坂道や階段が多い地形で、急勾配エリアの要所にはしっかりと手すりが整備されています

急な坂が多く、歩道にはガードレールではなく手すりが付いていてびっくり! 相州真鶴・貴船神社には108段の清めの階段、足腰のトレーニングにピッタリです。新鮮なお魚を狙うなら、真鶴漁港のお休みの日は避けた方が良いですよ^^

快晴の真鶴漁港
快晴の真鶴漁港
  • 新田恵利 さん (にった・えり)

    タレント

    母親の介護体験を元に、介護についての講演会を行う。2023年に淑徳大学総合福祉学部客員教授に就任。著書は『悔いなし介護』(主婦の友社)。

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