『Talent -タレント-』 著者 よしながふみさんインタビュー ──「芸能界で売れる、複合的な要素の多さが面白くて」
文・クロワッサン編集部
よしながふみさんの約2年ぶりの新作。物語の舞台は芸能界だ。
「芸能界を描く構想はずっと前からありました。そのための取材がコロナで中断したこともあり、今このタイミングになって」
描きたかったのはタイトルどおり、才能についての話。
「それもスポーツみたいに結果が歴然とわかるものではないものをと思いました。速く走れたとか、チームを勝たせたみたいなものではなく」
演技がうまいから、容姿がいいから、それだけでは売れない世界
「芸能界は演技がうまい順に売れるわけでもなければ、顔がきれいな順に売れるのでもない。そしてとても顔がいいけど若い時は全然で、40歳手前になって突然売れるようなことがある。そういう、本人が努力だと思っているもの以外の複合的な要素が多すぎるところが面白いと思います。運もあるし、本当に事務所に推してもらえるかどうか、ということも」
主要人物は4人の男女。彼らが一緒に歳を重ねていく群像劇だ。この世界に入った経緯はさまざまで、いわゆる〈スーパーボーイ〉的に美貌を見出された者、街でスカウトされた者、2世タレントなど。物語は始まったばかりだが、男性2人のラブアフェアなど、早くもよしながファンが心でガッツボーズする展開に。
前作『環と周』では、異性間の恋愛だけでない多様な心の繋がりを描いたよしながさん。今作では4人の関係はどのように進んでいくのでしょうか?
「皆の20代の頃の立ち位置が30になっても40になっても続くわけじゃない。そしておじさんとおばさんになる、その間に浮いたり沈んだり……みたいな感じです。テレビを観ていると、子どもの頃から見ていた人が今、お母さんの役やってるんだ!と驚くことがありますよね。あと、若い頃、この人どんな役なら合うかなと思っていた俳優さんが、当たり役を得て、そこから突然、バーッて演技派俳優として花開いて、すごくいいじゃない、この人、この仕事が来てよかったね!って親戚のおばさんみたいに観る(笑)。そういうことがすごく楽しいと思うので、20年、30年の長いタームで描いていきたい。私はおじさんとおばさんとおばあさんとおじいさんが大好きなので、頑張ればそれがこの先に描ける!と思いながらやっています」
芸能界とはたびたび週刊誌で報道されるように、一筋縄ではいかないもの。よしながさんもプロダクション関係者に取材を重ね、実感することが多かったという。
「事務所間の駆け引き、ドラマのキャスティングでのパワーバランスのパズル。よくマンガが実写化されるときなど、イメージ的にもっとあの人が近いじゃない?と思うことがありますけど、それがなかなか難しい理由がよくわかる」
リアルで話題になったあんなことやこんな事件も、この先登場するかも。第2巻が待ちきれない!
『クロワッサン』1162号より
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