【俳優・坂東龍汰さんに聞いた】8年ぶりの岩松舞台で、大人を手玉にとる悪い男に──舞台『危険なワルツ』
撮影・シム・ギュテ スタイリング・李 靖華 ヘア&メイク・後藤 泰(OLTA) 文・黒瀬朋子
坂東龍汰さんが演じる人物は、物語が終わった後もどこかで生き続けているように思わされる。ドラマ『ライオンの隠れ家』の自閉スペクトラム症のみっくん然り、『シナントロープ』のキバタン然り。映画『爆弾』では日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞した。3月は舞台『危険なワルツ』に出演。8年前の初舞台『三人姉妹はホントにモスクワに行きたがっているのか?』以来の岩松了さん作・演出の作品である。
「『三人姉妹〜』は若手俳優ばかりの公演で、若者たちの競争や嫉妬など、現実とリンクして見えるお話だったんです。舞台って、こんなにヒリつくものなのかと驚いていたら、もっと平和な現場もあると聞いてホッとしました(笑)」
『危険なワルツ』では、岩松了さんと松雪泰子さん演じる夫婦と三角関係になる、なにかたくらみを持つ悪い青年役らしい。
「大人たちを翻弄する役みたいです。自分と全く違うタイプなので、演じるのは楽しそう(笑)。自分でも気づいていないような一面を岩松さんが掬い取って書いてくださるそうで、脚本を読むのが楽しみです」
数々の映像作品で活躍する坂東さんだが、舞台は4本目。昨年はケラリーノ・サンドロヴィッチ(KERA)さん作・演出の『ベイジルタウンの女神』でコメディに挑戦した。
「セリフの間や声の高さなど、KERAさんが求めるリズムや音に応えるような緻密な演出でした。そのパズルがハマると笑いが起きるんです」
絶妙な間は、共演した古田新太さんを見ながら学んだそうだ。
「舞台上で古田さんを見ていると、ここ! というタイミングがわかるようになるんです。客席の爆笑が収まるのを、その都度待ってからセリフを言わなければいけないほどウケた公演もあって、笑いの波乗りをしているような気分になりました」
舞台に向き合っていると、演技の差を実感させられると続ける。
「稽古で先輩方の芝居を目の前で見るので、自分の小ささや足りなさをまざまざと見せつけられます。『ベイジルタウン〜』は、芝居のお化けみたいな俳優さんだらけだったので」
だからこそ、芝居に磨きをかけるためにも年に1本は舞台をと心がけているらしい。爆笑コメディから一転、岩松さんの作品は息を殺してステージ上の出来事を見入ってしまうような舞台。素顔は朗らかで楽しい坂東さんだが、悪い男役がリアルすぎたら、坂東さんのことを嫌いになってしまうかも?
「そう思ってもらえたらうれしいですね! 『坂東ってホントは悪いヤツなんじゃない?』みたいな(笑)」
M&Oplays プロデュース『危険なワルツ』
美しい妻と嫉妬深い夫は、ある企てを果たすために若い男を引き入れ、共同生活を始める。妻は若い男に惹かれていたが、この男はひと癖もふた癖もある男で──。
出演:松雪泰子、坂東龍汰、谷川昭一朗、中村加弥乃、但馬智、岩松了
東京公演:3月6日~22日 新国立劇場小劇場 https://mo-plays.com/waltz/ 大阪、富山、宮城公演あり。
『クロワッサン』1160号より
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