キッチンのかたわらを油絵のアトリエに【趣味のコーナー実例集】
時間と気持ちに余裕ができた今だからーー。
好きなことに没頭したり、大切なものを眺めたり、生き生きと過ごす「専用の場所」を用意した恩田ケイティーさんを訪ねました。
好きなことに没頭したり、大切なものを眺めたり、生き生きと過ごす「専用の場所」を用意した恩田ケイティーさんを訪ねました。
撮影・小林キユウ 文・中島茉莉花
“娘が使っていたライティングデスクが、 私の油絵のアトリエスペース。”
恩田ケイティーさん
キッチンのかたわらに置いたライティングデスクは、30年ほど前、娘の勉強机にと『葉山ガーデン』で購入したものだという。自宅で料理クラスも開くライフスタイルコーディネーターの恩田ケイティーさんにとって、ここは、家事の合間にレシピを書いたり縫い物をしたり、“ながら〇〇”をするとき腰かける場所。今は、“ながら油絵”に熱中している。
「初めて油絵を描いたのは中学校の必修授業。ずいぶん経つというのに、絵の具や筆洗い液、テレピン油の独特なにおいが懐かしく蘇ることがあったんです。海外映画でよく見かける、キャンバスが置かれた部屋にも憧れていました。それで、去年の誕生日に、自分で自分に〈ターレンス〉の油絵の具セットをプレゼントしたんです」
庭へと出入りできるドアのガラスを通って、やわらかな光が手元まで届くのがちょうどいいのだという。ひらめくたびに少しずつ「この世で見たことのない花」を描き進めている。
「いくらでも塗り重ねられ、終わりがなく、老眼にも優しいのが油絵のいいところ(笑)。せっかちで、何かにつけオーバーリアクティングな私には、少しでも落ち着く時間を持つことも精神衛生上いいみたいです」
『クロワッサン』1112号より