中性脂肪、血糖値、血圧…。体の内側から変えていく、発芽玄米の健康効果。
撮影・岩本慶三 スタイリング・渡邉美穂(料理) 文・宇津木理惠子 イラストレーション・宇和島太郎
主食を白米から発芽玄米に。体も心も変わります。
自然療法の医師、石原結實(ゆうみ)さんを父に持ち、幼いころから発芽玄米に親しんできた石原新菜さん。
クリニックでは漢方薬や自然食重視の食事療法などに力を入れています。しかし20代の多忙な研修医時代には、食生活が乱れ、さまざまな不調に悩まされた時期があったそうです。
「一人暮らしを始めたころでした。ストレスも大きく、慢性的な頭痛や便秘、めまい、肩こりなどがひどくて。しかも36度近い低体温が続いて無月経になり、危機感を感じました。根本から生活習慣を見直さなければとつくづく思わされたのです」
石原さんは実家での生活を思い出しながら、手軽に炊ける発芽玄米を主食にし、野菜中心の食生活に変えました。体が温まる生姜紅茶を頻繁に飲み、軽い運動を続けていたら、肩こりや頭痛、便秘は1か月ほどで改善し、体温も上がって生理も正常に戻りました。この経験から、
「頭痛や便秘など軽い症状でも放置しないで〝未病(みびょう)〟のうちに生活習慣の改善が必要です。後々の大きな病気の発症を防げますから」。そして軽い運動を気長に続けることも大切だと言います。
歯は消化器の鑑、本数の割合に合った和食は最高の健康食
石原さんは玄米をしのぐ発芽玄米の栄養成分にも注目しています。
「玄米は完全栄養食ともいわれますが、それ以上に優れた成分が認められます。発芽の際、酵素の働きで玄米以上に栄養価が増すためで、体の細胞を若返らせる抗酸化物質などの多くの成分がこのとき生成されます」
また、歯の中で最も多い臼歯が、毎日何を食べるかを示唆していることに気づいたと言います。
「私たちの歯は32本、そのうち前歯が8本で犬歯が4本、最も多いのが主に穀物をすりつぶす臼歯で20本。つまり穀類を62.5%、動物性の脂肪分が多い肉類は10%。そのバランスが健康にいいことを歯に教えられたように思えたのです。現代人のお米離れが話題になっていますが、発芽玄米をはじめ野菜を多くとりいれた和食を、今以上に食卓にのせてもらいたいものですね」
発芽玄米に含まれる成分が生活習慣病を予防!
●食物繊維
腸内環境を健康に保ち、便秘、肌荒れなどの改善もサポート。
●ビタミンB1
炭水化物からのエネルギーの産生を助ける。肌の健康を保つ効果も。
●フィチン酸
細胞の酸化を防ぎ、がん細胞の発生を抑制。高血圧・貧血予防にも。
●ビタミンE
抗酸化作用が細胞の働きを正常に保ち、肌を整える。
●イノシトール
肝臓の脂肪を取り除き、脂質代謝を高めて肥満を改善、血圧安定効果も。
●フェルラ酸
抗酸化作用が高い成分で、認知機能の改善が期待できる。
石原さんの夕食は発芽玄米を必ず一膳
石原さんの夕食は、いつも発芽玄米を中心に、具だくさんのおみそ汁、魚、豆類、海藻などをバランスよく。
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