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花の命をのばすには、あの手この手が必要です――西川勢津子(家事評論家)

1977年創刊、40年以上の歴史がある雑誌『クロワッサン』のバックナンバーから、いまも心に響く「くらしの名言」をお届けする連載。今回は、生け花をできるだけ楽しむための「手」を学びましょう。

文・澁川祐子

1978年8月10日号「生活の技術」より
1978年8月10日号「生活の技術」より

花の命をのばすには、あの手この手が必要です――西川勢津子(家事評論家)

これまで何度か紹介している家事評論家、西川勢津子さんの連載「生活の技術」。今回は「生け花を永持ちさせる法」がテーマです。「長持ち」ではなく「永持ち」と書いているところに、末永く花を生かそうという気合いが感じられます。

花の“持ち”が悪いのは、水揚げがうまくいっていないから。茎にバクテリアが繁殖すると、ヌルヌルして臭気を発し、水揚げする力が弱くなってしまいます。そうならないよう、水を吸う力を保つためには<根元の清潔が何より>だと語ります。

それには毎日水を替えるだけでは不十分。花瓶を殺菌性のある洗剤(キッチンハイターなど)とブラシでゴシゴシ洗い、清潔に保つことが大切だと訴えています。

また生ける際に「水切り」をしている人は多いと思いますが、これは切り口から空気が入るのを防ぐため。空気が入ったところに再び水を吸わせるにはかなりのエネルギーが必要になるからです。でも記事を読むと、ただなんでもかんでも水切りすればいいってものではないらしく……。

・ユリやダリアなど、茎を切ったときに白い汁の出るものは、ガスの炎などで焼く(熱で刺激すると同時に、炭化させてバクテリアを防ぐ)
・ガーベラやクチナシなどは切り口をアルコールにつける
・キキョウやコスモスは切り口に塩をすり込む
・ススキノ類は、水切りして酢につける

などなど、花によって水揚げ方法はいろいろ。いままでただ水切りして、こまめに水を替えればいいと考えていましたが、じつは「あの手この手」が必要なんだと思い知りました。

※肩書きは雑誌掲載時のものです。

澁川祐子(しぶかわゆうこ)●食や工芸を中心に執筆、編集。著書に『オムライスの秘密 メロンパンの謎』(新潮文庫)、編著に『スリップウェア』(誠文堂新光社)など。

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