自信がない、ネガティブ…自分由来のストレスを軽減するには?
イラストレーション・山口正児 文・板倉みきこ
自分に自信が持てるものが何もない。他人ばかり楽しそうに見え、うらやましく感じてしまう。
「自信が持てるものがないという人は、“特技”=誰と比べても優れているものだ、と断定しているからでは。いきなり高みを目指さず、私は書類の仕分けが得意とか、この煮物は誰にも負けないなど、身近なもので自信をつけていけばいいと思います」(小高さん)
同時に「そんなことは特別な能力ではない」と自らを否定してしまうクセに気づき、やめること。
「承認欲求を持つのは人として当前のことですが、最近は他者からの評価を求め、人と比べすぎる傾向が。うらやましいと思う人と同じ暮らしが本当にしたいのか、自分が何を求めているのか、評価の基準を自分に戻して」(小高さん)
初対面の人、新しい場所、未体験のことがつらくなってきた。
変化に対する抵抗感が生まれるのは、自分では対応しきれないはず、と決めつけが生じているから。
「知らないことがあったら馬鹿にされるんじゃないか、聞くのが恥ずかしいなどの気持ちも湧くのでしょう。でも、知らないことは決して恥ずかしいことではありません。最近はいろいろな機関、サービスがあり、知らないことを教えてくれる場所も多いので積極的に利用してみましょう」(小高さん)
また、新しいことに挑戦するなら、自らの欲求を基準にすること。
「食べたい、知りたい、楽しみたい……。欲求に素直に応じるだけ。自分に合わないことは、無理にしなくていいのです」(小高さん)
ちょっとした失敗でいつまでもクヨクヨ、些細なことでカッとなる、なぜか焦る…。 感情のコントロールがきかない。
「ネガティブな思考グセを作っている可能性も。その感情に至った経緯を分析すると、本当の原因が見え、必要以上に怒ったり落ち込むことが減ってきます」(小高さん)
脳の機能を改善させる方法も。
「空腹を感じたら、好きなものを食べたいだけ、味わいながら楽しくいただく“快食療法”を提案します。人間の本能、食欲や睡眠などを司る脳の根幹、生命維持の司令塔の間脳にアプローチできるので、効率よく脳を回復させられます。間脳の働きが復活すれば、感情を支配する大脳辺縁系の機能も改善。普段“快食”ができていない人がほとんどなので、続けていけば脳は変わりますよ」(横倉さん)
完璧主義。人にも自分にも 0か100の評価しかできず、 不満が多い。
「『〜せねばならぬ』と考える、情報や理性に支配された疲弊脳の傾向が強いですね。脳に余裕があれば不満は減ります。とにかく本能のままに食べ、休み、眠ることでエネルギー補給をして、脳に余裕を作ってください」(横倉さん)
完璧主義は視野の狭さと俯瞰力のなさが生み出すもの、と小高さん。
「自分の下した判断を一つ一つひもといて、白黒をつける必要があるか、断定する必要があるかと考えてみてください。加齢の影響もあり、思い込みも強くなっていることに気づきましょう。物事を単純化しない、自分に否定的なことだけを取り出さない、結論を急がないことで考えも変わります」
横倉恒雄(よこくら・つねお)さん●「横倉クリニック」院長。女性の内分泌学と心身症が専門。健康外来も併設。長年、病気が治る「脳」の健康法を提唱し続けている。
小高千枝(おだか・ちえ)さん●公認心理師。メンタルトレーナー、コーチ。心の免疫力を高めるためのセッションを提供。近年はがん患者のメンタルケアにも従事し、後進の育成にも励む。
森田汐生(もりた・しおむ)さん●アサーティブジャパン代表。社会福祉士の資格を有し、英国の精神医療団体でソーシャルワーカーとして勤務した経験も。全国各地で多数の講演・研修を行っている。
『クロワッサン』1020号より
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