くらし

高温多湿の夏に備えて、賢く食べ物を保存する方法。

  • 文・一澤ひらり イラストレーション・山口正児

梅雨や夏に役立つ食材や調味料

〈 シソ 〉独特の香り成分、ペリルアルデヒドには、抗菌作用があると言われている。
〈 梅 〉クエン酸等を含み、黄色ブドウ球菌や病原性大腸菌の増殖を抑制する作用が見出されている。
〈 たまねぎ 〉特有の辛味成分であるアリシンは、殺菌作用や細菌の増殖を抑える働きが。
〈 お茶 〉苦み成分のカテキンは、黄色ブドウ球菌や腸炎ビブリオ菌などに対し、殺菌作用があるとも。
【夏場の食欲増進に 万能酢の「さしす」】料理研究家の横山タカ子さんが考案した「さしす」を南さんも手作り。梅約700g、醸造酢300ml、氷砂糖200 g、塩70gを保存容器に入れて2~3週間。酢の物や南蛮漬けなどに。

生の魚介を食す寿司にはワサビやショウガ、弁当には梅干しを入れるなど、経験的に食べ合わせを考えてきた先人たち。この時季はこれらの食材も活用したい。

「とはいえ過信は禁物です。酢やワサビ、梅干しなどに減菌、抗菌作用の成分が含まれていても、食事としての効果は不明です。科学的裏付けはありませんが、旬のものを楽しむ気持ちで活用してはいかがでしょうか」

夏のカレー保存は要注意!

カレーは鍋ごとコンロに置きっぱなしにしない。手早く冷まし、小分けにして冷蔵・冷凍保存をする。
南さんが夏に作るのはスパイスを使った夏野菜のカレー。栄養バランスがよく、ルウを使わず、手軽にできるのもうれしい。

毎年、件数は少ないものの注目すべきなのがカレーや煮込み料理での食中毒。その原因菌として検出されたのがウェルシュ菌だった。

「香辛料たっぷりで腐敗しないイメージがありますが、カレーを鍋に入れたまま室温で放置すると、熱に強いウェルシュ菌などの芽胞は生き残り、25~50度の環境になると繁殖します。翌日に食べる場合は、しっかり加熱し直さないと、ウェルシュ菌は死にません。温め直すときはよく下からかき混ぜて空気を入れ、60度以上にしっかり加熱してください」

カレーは大量に作って、コンロに鍋を置いたまま翌日温め直すことが多いが、実はとても危険な状況下にあると知っておきたい。

「市販のルウを使ったカレーは濃厚でドロッとなるものが多いので、大量に作ると冷めにくく、ウェルシュ菌が繁殖する環境になりやすいです。カレーを作ったら、手早く中まで冷まして、保存容器などに小分けにして冷蔵・冷凍して保存するのがベストです」

夏場にはサラッとしたカレーのほうがおすすめ、と南さん。
「私が夏によく作るのはトマト、ズッキーニなどを入れた夏野菜のスパイスカレーです。サラサラなので冷めるのも早いですよ」

『クロワッサン』999号より

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