くらし

モノが多くても居心地がいい、福田晴美さんの部屋の決まりとは?

すっきり快適な空間づくりにはモノを減らすことが必須……とは限りません! 好きなものに囲まれた快適な暮らし、それを実現している2人に秘訣を教えてもらいました。
  • 撮影・中垣美沙、大澤千穂
扉のない棚とワゴンで構成されたキッチン。よく使う道具は調理台やテーブルの近くに配置。
フランスから持ち帰った布や、キリムのラグなど、さまざまなファブリックが彩るリビング。優しい色調がくつろぎの場にぴったり。

天井から吊ったカゴ、棚にひしめく台所用具。モノは決して少なくはないけれど、その光景が絵になる福田春美さんのキッチン。

「料理する時はコンロの前、作業する時はダイニングテーブルに向かって。一日のほとんどをこのキッチンで過ごしています」

いわく、「出しっぱなし、置きっぱなしのずぼら収納(笑)」。でもそこには、「とにかく負荷のかからない暮らしをしたい」という多忙な福田さんの思いがある。

「必要な時すぐに取れるようにしたいから、道具は使う頻度の高いもの順に、定位置から3歩以内に手に届くように置いています。例えば料理で使う菜箸などはコンロの前とか。あと、空間に合わせて収納したり、開け閉めもいやなので、扉のない棚が多いですね」

そして部屋づくりには数々のショップの立ち上げで培ったノウハウも生きている。足場板や水道管など、ショップの余り材で作った棚、天井から吊るす収納も限られた空間を活用するプロの技。

「大きなカゴを吊るして中に小さなカゴを入れれば、水仕事のあと収納しながら乾かせる。楽ちんだし合理的でしょう? とにかく私の部屋では『ちゃんとしまわなくてすむ』ことが大切なんです(笑)」

水道管と足場板で建築家に作ってもらったキッチン棚。木とシルバーの風合いが福田さんの台所道具となじむ。
日常の器が並ぶ流し台上の棚も足場板で作ったもの。壁にはニューヨークの地下鉄と同じ白いタイルを貼っている。

自分のクセに素直に暮らせば部屋は自然と“景色”になる。

リビングはアイボリーを基調とした穏やかな空間。

「実家にあった布など好きな生地を適当にかけたり重ねたり。居心地がいいのか、遊びに来る友人は皆、ここでごろ寝しますね」

住む人だけでなく、訪れる人をもリラックスさせてしまうこの空間。一方で心地よさをキープするためにはルールも必要。

「捨てるのが苦手なので、これはと思ったもの以外は持たない。どうしても必要な道具は間に合わせで買って、気に入った品を見つけたら交換しています。使わなくなったものは友人にあげて再利用してもらうことも」

そんな福田さんも一時期はモノを出さない暮らしを目指し、収納に励んだことも。けれど、3年半のパリ暮らしが住まいへの考え方を変えるきっかけになった。

「ぼろぼろのソファも不思議と景色になっている。そんな住む人の個性が垣間見える素敵な部屋がパリにはたくさんありました。そこで、『ああ、部屋づくりに特別なスタイリングはいらないんだ』と気づいて。私も自分のクセに素直に暮らしてみたらこの景色ができた。今は自分らしさがにじみ出たこの部屋がとても気に入っています」

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